1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08660049
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
後藤 三千代 山形大学, 農学部, 助教授 (10007081)
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Keywords | ヨトウガ Mamestra brassicae / 夏休眠 / 冬休眠 / 耐寒性物質 / トレハロース / グルコース / グリコーゲン / 遊離アミノ酸 |
Research Abstract |
本研究は夏休眠、冬休眠の役割を明らかにすることを目的とし、97年度は野外条件における2様式の休眠蛹の体内成分の時期別推移および休眠と耐寒性の関係について研究を行い、以下の結果を得た。 1.休眠覚醒時期は、夏世代8月中旬、冬世代は12月中旬であった。 2.野外条件下における夏世代のトレハロース含量は休眠、覚醒に関係なく低い値であった。グリコーゲンおよび全炭水化物含量は休眠期で高く、覚醒期で激減し、休眠期は高温下のエネルギー維持に寄与しているといえる。ヨトウガ血液中から30種類の遊離アミノ酸が検出されたが、量的に多い5種類の主要アミノ酸のうちAla,Gln,Ser,Proは休眠期で、Gluは覚醒期で高い値を示した。 冬世代のトレハロース含量は12月でピークとなり、2月まで高い値が維持されたのに対し、グリコーゲン含量は12月で低下し、その後低い値が維持され、両者の間で相反的な変動関係が示された。遊離アミノ酸のうちAla、Glu、Serは休眠覚醒期で高まった。 3.制御された温度条件下(-10〜30℃)で訓化された夏、冬世代の休眠蛹と覚醒蛹について、トレハロース含量のピークは夏、冬休眠蛹とも0℃であったが、冬休眠覚醒蛹では-5℃であった。グルコースは休眠、覚醒に関係なく、-5℃より検出され、-10℃で高まった。遊離アミノ酸はAlaは休眠、覚醒に関係なく0℃以下の低温下で高まったが、Serは冬休眠蛹のみ低温下で高まった。 以上から、ヨトウガの冬休眠は冬を前にした12月に覚醒し、耐寒性物質といわれるトレハロースは、休眠期は0℃、休眠覚醒後は-5℃に蓄積量のピークがあり、休眠覚醒後により低温覚醒後により低温下で高まることが明らかになった。夏休眠蛹と冬休眠蛹と糖代謝は酷似していた。
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