1997 Fiscal Year Annual Research Report
鉄化合物処理による青枯病に対するトマトの抵抗性誘導に関する研究
Project/Area Number |
08660050
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
生井 恒雄 山形大学, 農学部, 助教授 (70124609)
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Keywords | トマト青枯病 / 鉄化合物処理 / 抵抗性誘導 / 酵素活性変化 |
Research Abstract |
トマトの病害抵抗性を誘導することが示唆された3種類の鉄化合物、すなわち塩化鉄(FeCl_2・4H_2O)、硫酸鉄アンモニウム(FeNH_4(SO_4)_4・12H_2O)および硫酸第一鉄アンモニウム(FeSO_4(NH_4)_2SO_4・6H_2O)の水溶液をトマト品種「桃太郎」の幼苗の根にあらかじめ48時間浸漬処理した後、トマト茎内における植物の誘導抵抗性に関与すると考えられている酵素の活性変動を経時的に検討した。調べた酵素はパーオキシダーゼ(PO)、キチナーゼ、リポキシゲナーゼ(LOX)の3種類である。POについては前処理終了から酵素活性が水処理対照区に比較して高くなり、処理した鉄化合物の種類により酵素活性の変動パターンが多少異なったが、総合的に見ると処理2〜3日目に活性のピークが見られるものの4日目には一時的に低下する傾向が認められた。その後は再び活性が増加し、5日目には対照区の倍数の活性増加が観察された。一方、キチナーゼは、PO活性と同様に3化合物処理直後から活性の増高が観察されたが、POのような一時的な活性低下は認められず、時間の経過に伴った活性の増加が続いた。また、LOX活性についてはPOの活性変動と良く似たパターンが得られたが、PO変化よりは活性の増加の変化が穏やかで、一時的な活性低下の時期が時間的に遅れる傾向が認められた。これらPOとLOXの鉄化合物処理後の経時的な酵素活性の変動は、鉄化合物処理トマトに本病菌を接種した場合、茎内での菌密度が接種後4〜5日目に一時的に検出限界以下に一時的に低下し、その後再増殖する現象と関連がある可能性が示唆された。なお、トマトの植物的な特徴かどうかは明らかではないが、すべての化合物処理区で同一処理トマトでも固体間で測定値にかなりのばらつきが見られたことから、後者2種類の酵素活性変化については現在も検討中である。この理由から本研究の結果の公表には多少時間が必要である。
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