1997 Fiscal Year Annual Research Report
オオニジュウヤホシテントウ類の分布要因と害虫化に関する研究
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08660054
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
佐藤 仁彦 東京農工大学, 農学部, 教授 (30014955)
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Keywords | 産卵前期 / オオニジュウヤホシテントウ / 東京西郊型エピラクナ / 休眠 / 斑紋変異の遺伝性 / 連係型 / 単一優性遺伝子 |
Research Abstract |
1.分布地域による休眠性の違い オオニジュウヤホシテントウを長日(16hr照明)で飼育すると、本州北部の個体群は羽化後すみやかに産卵するが、本州南部の個体群は羽化後しばらくすると摂食を止め、活動を停止する。また、産卵を開始するまでにはかなりの日数がかかる。本州北部では、時々2化の発生がみられるが、これは高温による発育障害が起こらないこと、本州南部より日長時間が長いため産卵前期が短いことにより休眠に入らず産卵を誘導すること、によると考えられる。 2.斑紋変異の遺伝性 オオニジュウヤホシテントウでは斑紋b-c、3-4、3-5の連係が多く出現し、1-2が本州南部で多くなり、逆に3-5が本州北部で多くなる。これら斑紋変異は遺伝性を示し、1-2は単一優性遺伝子によるが、他の変異型はいずれも多くの遺伝子が関わっている。e-gに関わる遺伝子はX染色体に位置する。 ルイヨウマダラオテントウの害虫化したものといわれている東京西郊型エピラクナでは埼玉県、東京都、神奈川県および山梨県西北部の個体群ではe-f、3-5、b-c、g-hの連係型が多く出現するが、山梨県西南部および千葉県のものは変異のパターンが単純で、前者では3-5、b-cが、千葉県ではb-c、g-hがみられない。このような観察結果は東京西郊型エピラクナの害虫化が各地で単独に起こったのか、あるいは一ヶ所で起こり各地に分散していったのかどうかを検討するにあたり貴重な資料を提供するものである。
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[Publications] 佐藤,仁彦: "静岡県中部地域におけるオオニジュウヤホシテントウ群東京西郊型エピラクナの新産地" New Entomologist. 46. 33-35 (1997)
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[Publications] 佐藤,仁彦: "オオニジュウヤホシテントウ類の斑紋変異の遺伝性" 日本応用動物昆虫学会誌. (予定).