1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08660056
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西田 律夫 京都大学, 農学部, 助教授 (30135545)
|
Keywords | ミカンコミバエ / ウリミバエ / フェニルプロパノイド / 誘引物質 / フェロモン / 訪花昆虫 / 化学生態学 / 配偶行動 |
Research Abstract |
1)ゴムミカズラ属植物に含まれるミカンコミバエ誘引成分の解明 ミカンコミバエBactrocera dorsalisの雄はハワイの花プアケニケニFagraea berterianaに強く誘引されその花弁を摂食する.花弁組織にはメチルオイゲノールは含まれておらず,これまでミバエの誘引物質としては未知の成分3種の(I,II,III)を活性因子として単離することができた.主成分は質量分析(分子量194)NMR分析などによりtrans-3,4-dimethylcinnamyl alcohol(I)と同定した.少量成分はその酢酸エチル(II)ならびにアルデヒド(III)であることを合成により確認した.野外および室内において行動試験を実施,Iはメチルオイゲノールに匹敵する強い摂食刺激作用があることを明らかにした. 2)花成分の体内摂取と配偶行動における効果 プアケニケニ花の成分を摂取したミカンコミバエ雄成虫の直腸腺からはtrans-coniferyl alcohol(IV)を検出したが,IならびにIIを採取した雄も同様にIVを腺組織に蓄積することが判明した.プアケニケニの花を摂食した雄は,非摂食雄と比較して有意に高い交尾率を示した[摂食後1週間目80%;3週間目77%].雌成虫は,摂食雄を積極的に追尾する傾向が認められ,雄の蓄える花由来の物質を認識して交尾を受け入れていることが示唆された.ビデオ観察などにより配偶行動の詳細な解析を行う一方,直腸腺抽出物ならびに物質IVに対する雌の特異的な応答を検出し,同物質の性フェロモンとしての作用を裏づけた.植物に含まれるフェニルプロパノイド成分に対する雄ミバエの強い定位行動は,雌による香りの好みに基づく性選択の結果発達してきた性質と推察された.
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Nishida,R.ほか: "Male sex pheromone of the giant danaine butterfly,ldea leuconoe" J.Chem.Ecol.22. 949-972 (1996)
-
[Publications] Schulz,S.& Nishida,R.: "Composition of the pheromone system of the male danaine butterfly,ldea leuconoe" Bioorg.Med.Chem.3. 341-349 (1996)
-
[Publications] Tan,K.H.& Nishida,R.: "Sex pheromone and mating competition after methyl eugenol consumption in the Bactrocera dorsalis complex" Frult Fly Pests Proceedings of lnternat.Fruit Fly Symposium.147-153 (1996)