1996 Fiscal Year Annual Research Report
高収量・省資源的土壌管理のための蓄積土壌リンの可給性評価
Project/Area Number |
08660069
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 豊彰 東北大学, 農学部・附属農場, 助教授 (10176349)
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Keywords | 高収量・省資源 / 土壌管理 / 蓄積土壌リン / コロイド組成 / 黒ボク土 / リン酸吸着活性 / リン可給性 / 根量 |
Research Abstract |
コロイド組成の異なる黒ボク土(アロフェン質多腐植質、アロフェン質非腐植質、非アロフェン質多腐植質、非アロフェン質非腐植質)のリン酸吸着特性と施用・蓄積リン酸の溶解性および作物の吸収量より、コロイド組成および土壌pHの蓄積無機態リン酸の可給性を検討した。 1.コロイド組成とリン酸吸着活性との関係 リン酸吸着には活性Al(酸性シュウ酸塩可溶Al)が最も強く関与し、その単位Al当たりのリン酸吸着量はアロフェン>Al-腐植複合体であり、非アロフェン質多腐植質はアロフェン質非腐植質の約2.5倍と高い値を示した。 2.リン酸吸着活性と蓄積リン酸の溶解性および作物のリン吸収量 蓄積リン酸量の異なる各黒ボク土の1mM硫酸による無機態リン酸の抽出量およびデントコーンのリン吸収量を測定した。活性Al当たりの蓄積リン酸量に対するリン酸抽出量および植物のリン吸収量は、アロフェン質非腐植質>アロフェン質多腐植質>非アロフェン質非腐植質≧非アロフェン質多腐植質、となった。 3.土壌pHとリン酸可給性 土壌pHを4.5〜7に調製した黒ボク土にリン酸を施用し、大麦のリン酸吸収量および3つの抽出液による有効態リン酸量を測定した。この範囲での有効態リン酸含量はpHによって変化しない。しかし、大麦のリン酸吸収量は非アロフェン質ではpH5.3以下で、アロフェン質ではpH4.6以下で約20〜50%に減少し、これは根量の傾向と一致した。低pHでのリン酸吸収量の低下はAl過剰障害による根量の減少によると考えられた。 以上の結果より、コロイド組成は活性Al当たりのリン酸吸着活性に強く影響し、そのことが蓄積リン酸の可給性に影響すること、また強酸性条件でのリン酸可給性には土壌のリン酸供給量よりも根量が大きな要因となることが明らかとなった。アロフェン質黒ボク土に比較して、非アロフェン質黒ボク土は活性Alあたりの蓄積土壌無機態リンの可給性が低く、また相対的に高い土壌pHよりリン酸の可給性が低下することが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)