1997 Fiscal Year Annual Research Report
高度汚染土壌の化学的修復技術の基礎としての土壌中重金属の形態分析
Project/Area Number |
08660078
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
和田 信一郎 九州大学, 農学部, 助教授 (60108678)
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Keywords | 土壌 / 重金属 / 電気泳動 / 電気浸透 / 環境修復 |
Research Abstract |
イオン吸着体組成を異にする土壌試料(腐植質,アロフェン質,スメクタイト質,カオリン質,カオリン+酸化鉄鉱物質)に銅,亜鉛,鉛塩を添加して野外の水分含量に近い状態で反応させ定期的に連続抽出を行い,形態分析を行った. この結果,いずれの土壌でも銅,鉛では酸化物結合態の金属含量が最も高くなり,しかも反応時間とともに増加すること.そしてその分だけ交換態の量が減少することがわかった.この形態変化は反応開始後30日間にわたって進行した.亜鉛ではその他の金属と比較して交換態の割合が高かった. 電気化学的重金属除去効率改善のための基礎的知見を得るため,5x5x15cmのアクリル容器に充填した銅羽汚染土壌の両端に20Vの一定電位差を与え,陽極側から塩化ナトリウム溶液を供給しながら,土壌の各部の電位,電気浸透流量と組成,土壌の間隙水および吸着イオン量とその時間変化を測定した. 通電に伴う陽極近傍の強酸性化によって土壌鉱物が溶解し、アルミニウムイオンが土壌溶液の主要陽イオンとなった.対イオンは塩化物イオンであり,両者はともに陰極側へ徐々に移動した.アルミニウムイオンの出現濃度は供給塩化ナトリウム濃度が高いほど高かった.しかしそれは銅イオンの移動速度には大きく影響しなかった.この結果から,供給塩濃度は高く保つ必要がないと結論した. 陰極付近のアルカリ化による銅イオンの沈殿防止のため,陰極近傍に水素型陽イオン交換樹脂を充填したところ,アルカリが土壌へ浸透するのを防止でき,かつ陽極から移動した銅イオンは定量的に樹脂に補足された.水素型陽イオン交換樹脂を用いる方法の有効性が証明された.
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[Publications] Wada,S.-I.: "A rapid and sensitive method for on-site estimation of small amount of carbonate in soils." Soil Sci.Plant Nutr. 43. 45-50 (1997)
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[Publications] 和田信一郎・大谷崇: "pH5の酢酸アンモニウムを用いた土壌の塩基分析法の検討" 農業および園芸. 72. 1080-1082 (1997)
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[Publications] 和田信一郎・郡司掛則昭・小田原孝治・久保研一: "福岡および熊本県下のいくつかの施設土壌の炭酸塩含量" 日本土壌肥料学雑誌. 68. 315-317 (1997)
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[Publications] Wada,S.-I.and Otani,T.: "Cahnges is cationic composition of soil solution associated with changes of water content" Soil Sci.Plant Nutr.44(印刷中). (1998)