1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08660079
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
長谷川 功 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (40218441)
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Keywords | アルカリ土壌 / 塩基過剰 / カルシウム / コマツナ / 体内遊離カルシウム / 非イオン性カルシウム / カルモジュリン |
Research Abstract |
乾燥地塩類集積土壌の内、CaCO_3やCaSO_4が集積した石灰質土壌は全世界の土壌の30%を占め、そこではFe欠乏のため作物の生育が著しく不良となる。増加する人口に見合う食糧を持続的に確保ためには、あるいは緑地を回復させるためには、こうした不良土壌でも生育可能な植物、即ち栄養ストレス耐性植物を育成することが重要となる。そのため、Fe欠乏耐性植物の分子育種について多くの研究が行われている。しかし、Fe欠乏耐性植物を育成してもその生育環境では同時に塩類過剰ストレスがその植物に負荷されることから、それに対する耐性能の付与も考えなければならない。そのための基礎的知見を得る目的でCa過剰に対する植物の耐性機構に付いて検討した。 まず、Ca過剰耐性植物を選抜するため、8科9種類の植物を用いて、高濃度のCa処理が生育および体内Ca含量に及ぼす影響を検討した。その結果、シュンギク、ナスなどは著しく生育が抑制されたが、キュウリ、ホウレンソウ、コマツナなどは比較的生育抑制が小さかった。そこでこれらの植物について、体内Ca含有率および体内で遊離のCa含量を測定したところ、ホウレンソウはCa過剰をしても体内Ca含量率はあまり上昇せず、体内の遊離のCa濃度も増加しなかった。キュウリはCa過剰処理によって体内Ca含有率が増加し、同時に遊離のCa濃度も増加した。一方、コマツナはCa過剰を行っても生育が抑制されないばかりでなく、体内、得に地上部のCa含有率はほとんど増加しないにもかかわらず、体内の遊離のCa濃度は顕著に増加するという特徴が見られた。 そこで、このコマツナを用いてCa過剰処理を行った場合のタンパク質組成を対照区と比較したところ、15KDa、29KDaおよび44KDaの3種類のタンパク質がCa高濃度処理によって特異的に多く発現していることが明かとなった。現在、これらのタンパク質のCa過剰に対する機能やその構造についての解析検討を行っている。
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