1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08660109
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
三上 文三 京都大学, 食糧科学研究所, 助教授 (40135611)
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Keywords | β-アミラーゼ / X線結晶構造解析 / タンパク質工学 / 生デンプン分解 |
Research Abstract |
申請者はβ-アミラーゼの立体構造に基づいた酵素機能変換の可能性を追求するためにダイズβ-アミラーゼ、耐熱化オオムギβ-アミラーゼ、およびBacullus cereus β-アミラーゼのX線結晶構造解析を行い、各酵素の機能の差違を与える構造上の相違を明らかにし、新機能酵素を設計、開発することを目指している。平成9年度の実施計画について以下の点を明らかにした。 1.Bacullus cereus起源のβ-アミラーゼについて、その大量発現系を大腸菌を用いて構築し、大量精製を行った後、酵素の結晶化を行った。硫安とポリエチレングリコール溶液中から得られた結晶はP2_1の空間群に属し、非対称単位あたり1分子の酵素を含み、構造解析に適していた。多重重原子置換法により、初期モデルを構築し、マルトース複合体について2.1Åまで、遊離酵素について2.5Åまでのデータを用いて構造を精密化した。その結果、本酵素はダイズ酵素とほぼ共通するメインドメイン以外にC末端に約100残基のドメインを持ち、このドメインはグルコアミラーゼ、シクロデキストリン合成酵素の生デンプン吸着ドメインと類似していることが明らかになった。マルトースは活性部位に2分子、C末端ドメインに1分子、また、メインドメインの活性部位とは異なる部位に1分子結合しているのが明らかになった。後者は微生物β-アミラーゼにだけ保存され、今までに例のない新しいデンプン結合サイトであった。 2.ダイズβ-アミラーゼの触媒部位の2個のグルタミン酸側鎖をグルタミンに置換した酵素と基質との複合体のX線結晶構造解析を1.9Å分解能で行った結果、Glu380Glnの変異体ではマルトースがサブサイト1-2とサブサイト4-5に結合していることが判明した。これはGln380により活性部位の水素結合の再配置のためGln380の側鎖が触媒水の近くに移動し、サブサイト2に結合するグルコース残基がβアノマーからαアノマーに変化したため立体障害によりサブサイト3にグルコース残基が結合できなくなることによる。この結果はGiu380による水分子の活性化機構を強く示唆するものであった。 3.ダイズおよびBacullus cereus β-アミラーゼの構造解析の結果から両者のキメラ酵素を作製し、植物型でC末端吸着ドメインを有し生デンプン分解活性を示す酵素の開発を試みた。この点について現在、遺伝子の発現を行っている。
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Research Products
(2 results)