1997 Fiscal Year Annual Research Report
油糧植物のリゾホスファチジン酸アミルトランスフェラーゼ遺伝子の構造と発現調節
Project/Area Number |
08660117
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
市原 謙一 京都府立大学, 農学部, 助教授 (50046512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 國介 京都府立大学, 農学部, 教授 (90027194)
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Keywords | 脂肪合成 / リゾホスファチジン酸アシルトランスフェラーゼ / 油糧植物 |
Research Abstract |
本研究は,油糧種子トリアシルグリセロールの分子内脂肪酸分布に強い影響力を及ぼしているリゾホスファチジン酸アシルトランスフェラーゼ(LPA-AT)の遺伝子構造とその発現調節ならびに酵素的特性と脂肪酸組成調節機構を明らかにしようとするものである。 昨年度の研究で,イネアリューロン層特異的cDNAライブラリーをスクリーニングして,1055bpの部分長イネLPA-AT cDNAを得た。本年度はまず,この1055bp断片をプローブとして,LPA-AT mRNAのイネ組織における特異的な転写レベルを調査した。その結果,LPA-AT mRNAは芽生え期の葉,茎,根にはほとんど検出されなかった。また,登熟期種子では,アリューロン層や胚よりもむしろ胚乳で活発に転写されていることが明らかになった。このことは,脂質含量の低い胚乳においてもデンプン結合リン脂質の合成には,このアシルトランスフェラーゼが重要な役割を果たしていることを示唆している。 また,このゲノム遺伝子のコピー数は,サザン分析の結果から1〜2であると推定された。 一方,アブラナ科植物であるカリフラワーの登熟期種子LPA-ATが,一般油糧種子のLPA-ATとはまったく異なったアシル-CoA特異性を有していることを見いだした。現在,このカリフラワーLPA-ATのアミノ酸配列を調べるために,cDNAライブラリーを作成し,スクリーニングする準備を進めている。 今後は,このアシル-CoA特異性が酵素タンパク質のアミノ酸配列のどのような部位によって規定されているのか,また,特異性の違いが貯蔵脂質の脂肪酸組成や分子内分布にどのような影響を及ぼしているのかを明らかにしてゆきたい。
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