1996 Fiscal Year Annual Research Report
好熱性絶対共生細菌に見られる微生物間共生現象の解明
Project/Area Number |
08660121
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
別府 輝彦 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (80011873)
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Keywords | Symbiosis / Symbiobacterium / Bacillus / thermophiles / tryptophanase / 16sDNA |
Research Abstract |
耐熱性トリプトファナーゼ(TNase)生産菌Symbiobacterium thermophilum(ST)は、好熱性Bacillus sp.strain S(BS)との共存下でのみ生育できる絶対共生細菌である。予備実験からSTは16sDNAによる分類でグラム陽性細菌の新しい属であることが明らかとなっている。STの自然界における分布を調べるために、各地の土壌,堆肥サンプルからTNase活性を指標にスクリーニングを行い、陽性を示す菌株の16sDNAを解析した。その結果現在までに24サンプルにおいてST特異的PCRにおいて陽性を示し、うち11サンプルは塩基配列がSTと全く同一であった。この結果からSTが自然界に広く分布していることが明らかになった。次にSTとBSの共生培養においてコロニーを形成しないSTの生育をBSと同時に追跡する手段として、それぞれに特異的な遺伝子の配列を基に設計したプライマーを用いた定量的PCRにより菌数測定を行う方法を検討した。その結果最終処理試料当たりの限界細胞数約5×10^2までの検出が可能となった。 STは染色体上で隣接した2つのTNase(tna1,tna2)を有し、それらは高い相同性を示しながら耐熱性や活性の温度依存性が異なる。好熱性共生細菌の遺伝子発現制御に関する知見の取得を目的として、tnaを含む周辺の8kbのDNA断片の塩基配列を決定した。その結果、tna1,2を含め同一の方向に5つのORFをみいだした。ORF1産物はDNA結合配列を有する転写調節蛋白質、ORF2産物は真核生物にのみその存在と機能が確認されていた型の膜輪送蛋白質と相同性を示した。またORF3産物はtRNA Synthaseと相同性があることが判明した。ORF1産物はこのオペロンの転写調節に関与し、またORF2産物はトリプトファナーゼに対する基質の膜輸送に関与するものと推測している。
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