1996 Fiscal Year Annual Research Report
コケ培養細胞の葉緑体中でのクロロフィル生合成の調整機構に関する研究
Project/Area Number |
08660125
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
鍋田 憲助 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (70093911)
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Keywords | コケ / Heteroscyphus planus / 培養細胞 / 生合成 / 葉緑体 / クロロフィル / フィトール / カロチノイド |
Research Abstract |
ツクシウロコゴケ培養細胞は、種々のクレロダン型ジテルペン酸及びγ-ラクトンを生成するが、最主要成分であるheteroscyphic acid A(HAA)に酢酸(2-^<13>C-)とMVA(2-^<13>C-及び4,5-^<13>C_2-)を取り込ませたところ、それぞれ、HAAは1.36と0.9atom% excessで^<13>C標識された。興味深いことに、HAAのFPP由来の部位のみが標識され、末端のIPP部位は標識されなかった。この結果は、維管束植物の茎葉部での、MVAのモノテルペンやセスキテルペンへのIPP部位への選択的取り込みと対照的であり、全く新しい標識パターンであった。同様の非等価な標識が、葉緑体のチラコイド膜で合成されるカロチノイドやクロロフィルaのフィチル側鎖にも認められるかどうかを確認し、葉緑体内でのGGPP代謝の制御機構を証明することを目的として本実験を行った。 方法-ツクシウロコゴケ及びトサカゴケ培養栽培に^2Hあるいは^<13>C標識した酢酸、メバロン酸、グリシンを投与した。生成したクロロフィルがカロチノイドを単離し、^2H及び^<13>C NMRを測定した。 結果-ツクシウロコゴケ及びトサカゴケ培養細胞中のクロロフィルaのフィチル部分の生合成(10atom% excess)やカロチノイド生合成においても観察された。以上から、葉緑体内でのGGPP代謝系から派生する化合物は、全て、HAAと同じ標識パターンを持つと推定される。この標識パターンは、葉緑体内に取り込まれたFPPと葉緑体内で合成されたIPPからGGPPの一部が合成される、あるいは、維管束植物とは異なり、コケ葉緑体はメバロン酸を効率良く取り組み、取り込まれたMVAからFPPが迅速に合成されると解釈すれば合理的に説明できる。
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[Publications] K.Nabeta: "New alloaromandendrane,bicyclogermacrane and 2,3-secoalloaromandendrane in cultured cells of the liverwort,Heteroscyphusplanus." Phytochemistry. 43. 83-93 (1996)
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[Publications] K.Nabeta: "Synthesis of chlorophyll a and β-carotene from ^2H and ^<13>C-labelled mevalonates and ^<13>C-labelled glycine in cultured cells of liverworts,Heteroscyphusplanus and Lophocolea heterophylla" J. Chem. Soc. Perkin Trans. I,. (印刷中). (1997)
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[Publications] K.Nabeta: "In vitro biosynthesis of cadinanes by cell-free extracts of cultured cells of Heteroecyphusplanus." J. Chem. Soc. Perkin Trans. I,. (印刷中). (1997)