1996 Fiscal Year Annual Research Report
イネ伸長生長におけるジベレリン生合成阻害剤とフェノキシ酢酸誘導体の相互作用
Project/Area Number |
08660128
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
米山 弘一 宇都宮大学, 雑草科学研究センター, 助教授 (00114174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉持 仁志 宇都宮大学, 雑草科学研究センター, 助手 (50241857)
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Keywords | ジベレリン / 生合成阻害 / イネ / 伸長 / 成長阻害 / 拮抗作用 / Cyt P450モノオキシゲネース / フェノキシ酢酸誘導体 |
Research Abstract |
水田状態の温室内ポット試験と寒天培地および水耕液を用いた恒温培養器内の試験により、ジベレリン生合成阻害剤(ウニコナゾール、Uni)とフェノキシ酢酸誘導体(2,6-ジイソプロピルフェノキシ酢酸、DIPA)のイネ伸長生長における相互作用を検討した。 温室内ポット試験では、イネ(矮性種タンギンボウズ)にUniを処理した後でDIPAを処理した場合にのみ、伸長生長阻害からの回復が認められた。この時、内生ジベレリン含量をELISA法により定量した結果、内生ジベレリン含量も回復していた。同様の結果は寒天培地および水耕法による恒温培養器内試験でも確認された。 DIPA処理後に認められるUniによるジベレリン生合成阻害からの回復メカニズムを検討するために、Uniの代謝に関与していると想定されるCyt P450モノオキシゲネースについて、モノオキシゲネース阻害剤であるピペロニルブトキサイド(PBO)およびアミノベンズトリアゾール(ABT)を同時に処理した場合の影響を検討した。その結果、これらのモノオキシゲネース阻害剤共存下でもDIPAによる回復が認められたことから、DIPAがUniの代謝を促進している可能性は低いことが判明した。 すなわち、DIPAはイネ体内におけるUniの作用部位への移行を阻害する可能性も否定できないが、むしろジベレリン生合成あるいは代謝系に直接影響を及ぼしているものと考えられる。 なお、Uni処理の如何に拘わらず、DIPA処理に伴う内生ジベレリン(特にGAI)含量の上昇傾向が認められたため、現在内部標準物質を添加した試料について内生ジベレリンのGC-MSによる定量を継続中である。
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