1996 Fiscal Year Annual Research Report
イネ培養細胞のフィトアレキシン生産におけるジャスモン酸のシグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
08660129
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山根 久和 東京大学, 生物生産工学研究センター, 助教授 (80090520)
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Keywords | イネ培養細胞 / ジャスモン酸 / フィトアレキシン / ディファレンシャルスクリーニング |
Research Abstract |
我々は、イネ培養細胞のエリシター誘導フィトアレキシン生産におけるジャスモン酸がシグナル伝達物質として機能していることを明らかにした。このことを踏まえ、本研究では、ジャスモン酸のシグナル伝達機構を追求する観点から、イネ培養細胞においてジャスモン酸に応答する遺伝子を単離し、その機能を明らかにすることを目的とした。 10^<-4>Mのジャスモン酸で2時間処理したイネ培養細胞から調製したcDNAライブラリーを用いてディファレンシャルスクリーニングを行い、ジャスモン酸処理によりmRNAレベルが増大する5つのクローンを得、cRRJ1-5と命名した。これらのクローンのうち、cRRJ1,4,5のインサートの塩基配列の決定を行った。cRRJ4のインサートは1,576bp、cRRJ5のインサートは1,443bpからなり多少長さがことなるものの、3′末端側1,380bpの配列はほぼ完全に一致し、異なる部分は、5′側の非翻訳領域のみであった。RRJ4,5がコードしていると推定されるポリペプチドは370アミノ酸からなり、酵母のNADPH dehydrogenase OYE1,2及び原核生物のNADH oxidaseと相同性を示し、活性酸素の供給に関与している可能性が示された。また、cRRJ1のインサートは1,475bpからなり、357アミノ酸からなるポリペプチドをコードしていると考えられ、酵母やラットのシスタチオニンγ-リアーゼと相同性を示し、アミノ酸レベルの調節に関与しているものと考えられた。
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