1997 Fiscal Year Annual Research Report
イネ培養細胞のフィトアレキシン生産におけるジャスモン酸のシグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
08660129
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山根 久和 東京大学, 生物生産工学研究センター, 助教授 (80090520)
|
Keywords | イネ培養細胞 / エリシター / ジャスモン酸応答性遺伝子 / フィトアレキシン生産 / シグナル伝達 / cDNAクローニング |
Research Abstract |
申請者は、イネ培養細胞におけるエリシター誘導のフィトアレキシン生産にジャスモン酸(JA)がシグナル伝達物質として機能していることを明らかにし、さらにJAのシグナル伝達機構を分子レベルで解明するため、JA応答性の遺伝子の単離を試みてきた。昨年度は、JA処理後2時間のイネ液体培養細胞cDNAライブラリーから、ディファレンシャルスクリーニングによりJA処理に反応してmRNAレベルが増加する遺伝子のcDNAクローニングを行い、その結果4種のJA応答性遺伝子のcDNAを単離することに成功した(cRRJ1〜4)。本年度は、より早いJA応答性を示す遺伝子の単離を行う観点から、JA処理後30分のcDNAライブラリーについてディファレンシャルスクリーニングを行い、その結果JA処理によってmRNAレベルが増加するcDNAクローンを1種単離し、cRERJ1と命名した。cRERJ1のインサートは、全長にわたって相同性の高いタンパク質は存在しなかったが、塩基性領域・ヘリックス・ループ・ヘリックス(bHLH)モチーフが保存されており、転写制御に関わるDNAbindingタンパク質であると考えられた。JAに応答する転写制御因子はこれまでに報告がない。また、これまで単離したJA応答性遺伝子4種のJA処理に対する応答がタンパク質合成を介したものが否かをタンパク質合成阻害剤であるシクロヘキシミド(CHX)処理を行うことによって調べ、グループ分けを試みた。その結果、RRJ1及びRRJ2のJAに対する応答はタンパク質合成を介していると考えられ、シグナル伝達経路の下流に位置する酵素であると推測された。RRJ4及びRERJ1については、CHX単独処理でもmRNAレベルの増加が認められ、今回の実験でははっきりとした結論は得られず、今後nuclear run offアッセイなどによって調べる必要があると考えられた。
|