1996 Fiscal Year Annual Research Report
合成ユビキノール類縁体と変異酵素を用いた大腸菌ユビキノール酸化酵素の構造解明
Project/Area Number |
08660136
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三芳 秀人 京都大学, 農学部, 助教授 (20190829)
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Keywords | 呼吸鎖 / ユビキノン / 末端酸化酵素 / 構造活性相関 |
Research Abstract |
大腸菌末端酸化酵素(bo型及びbd型ユビキノール酸化酵素)のユビキノール酸化部位の構造及び機能特性を解明する目的で、系統的に構造装飾した一連のユビキノール類縁体の構造活性相関研究を行った。従来の呼吸鎖電子伝達系酵素に関するユビキノン(あるいはユビキノール)類の構造活性相関研究では、用いるユビキノール類の構造バリエーションが充分でなかったり、類縁体間の主たる構造因子の変化が不明確であるなどのいくつかの問題点があった。本研究では、ユビキノール分子の電子的性質をできる限り一定に保ち、主に立体的性質を改変するためにユビキノールの各種アルキル類縁体を有機合成した。酵素によるユビキノール環部位の認識に対する側鎖構造の影響を検討するために、炭素数10個のゲラニル基あるいは直鎖デシル基をそれぞれ側鎖として有するQ2H2類縁体およびDBH2類縁体の二つの系統の化合物群をデザインした。 まず、bo型ユビキノール酸化酵素について検討したところ、側鎖構造の如何に関わらず、2位エトキシ体の活性が3位エトキシ体よりも顕著に低下したことから、キノール環上の2位メトキシ基は3位メトキシ基よりも酵素によってより厳密に認識されていることがわかった。また同様に、5位メチル基を無置換あるいはエチル基にそれぞれ改変しても活性が低下したことから、5位メチル基は酸化反応に重要な役割を果たしていることがわかった。以上のことから、酵素によるキノール環上の置換基の認識はアルキル側鎖の構造によって影響を受けないことが判明し、基質の酸化反応にはキノール環部と側鎖部がそれぞれ独立に関与していることが明らかになった。 また、キノール環部の置換基パターンが同じ場合には、Q2H2類の方がDBH2類よりも反応の親和性が高かったことから、天然型側鎖のイソプレノイド構造は酵素との親和性を高めるような特異的な相互作用に関与していることがわかった。従来、キノン類の側鎖の機能としてはキノン分子の疎水性の増大を保証しているものと考えられてきたが、本研究の結果は、少なくともbo型ユビキノール酸化酵素においては側鎖が疎水性を増大する効果以上の機能性を持っていることが示された。
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Research Products
(1 results)