1996 Fiscal Year Annual Research Report
アザクライゼン転位を活用した新規インドール系発がんプロモーターの分子設計
Project/Area Number |
08660137
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
入江 一浩 京都大学, 農学研究家, 助手 (00168535)
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Keywords | アザクライゼン転位 / テレオシジン / インドラクタム / 発がんプロモーター / プロテインキナーゼC / コンフォメーション |
Research Abstract |
放線菌の産生する強力な発がんプロモーター・テレオシジンは、インドール環の3位から4位に閉環した9員環ラクタムのアミド結合のシス・トランス異性化に起因するtwistおよびsofaの2つの安定なコンフォマ-の混合物として存在するフレキシビリティーの高い化合物である。本研究は、テレオシジンの共通基本骨格であるインドラクタムVの5位から13位にアザクライゼン転位反応をキ-ステップとして架橋し、立体配座をシスアミドの活性コンフォメーション(twist型)に固定した各種新規インドラクタムV誘導体を合成することにより、発がんプロモーターの主要なターゲットであるプロテインキナーゼC(PKC)のアイソザイム選択的なアゴニストの開発を目的とするものである。 インドラクタムVの13位メチル基をアリル基に置き換えた誘導体のルイス酸処理により、5位から13位に閉環した化合物3種を合成した。これらのうち、2種の化合物はシスアミドの活性型コンフォメーションに固定されていることが、NMRにより明らかになった。合成した3種の化合物のラットPKCγおよびマウスPKCηサロゲートペプチドに対する結合能を測定した結果、インドリンタイプの閉環体の一つが、インドラクタムVと比べてPKCγに対しては、5倍高い結合能を有するのに対し、PKCηに対しては逆に1/4の結合能しか示さないことが明らかになった。以上の結果より、インドラクタム骨格の5位から13位に環構造を新たに付け加えてコンフォメーションを制限することにより、PKCアイソザイム選択的な化合物をデザインできる可能性が強く示唆された。
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