1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08660169
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
山本 覚 福山大学, 工学部, 助教授 (10191404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雨村 明倫 福山大学, 工学部, 教授 (90029877)
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Keywords | ω-Oxidation / ω-Hydroxy fatty acid / Alcohol dehydrogenase / Rabbit |
Research Abstract |
脂肪酸のω酸化経路の生理的意義は未だ曖昧で、その代謝経路も確立しているとは言い難い。本研究はω酸化経路の生理的意義と代謝経路の解明を目指している。ω酸化経路の最初の反応である脂肪酸ω水酸化酵素については、既に著者らが検討し詳細な性質を明らかにしている。平成8年度は、ω-ヒドロキシ脂肪酸脱水素反応および同反応を触媒する酵素系の解明を試みた。 (1)12-Hydroxy-dodecanoic acidを基質に用いて、ウサギの種々の組織の細胞質画分のω-ヒドロキシ脂肪酸脱水素酵素活性の分布を検討したところ、肝に最も高い活性が存在し、次いで腎、小腸および肺ににも活性が認められた。さらにラット、マウス、ニワトリの肝細胞質にもウサギと同様の活性が存在し、脂肪酸ω酸化経路が普遍的な代謝経路であることが示唆された。 (2)ウサギ肝細胞質画分を用いて12-Hydroxy-dodecanoic acid代謝産物の同定と定量を行った。生成物をメチルエステル化しGC-MSで分析した結果、生成物は1,12-Dodecane dioic acidであり、中間体と予想される12-Oxo-dodecanoic acidは全く検出されなかった。生成物をPhenacyl esterとしてHPLCにより定量したところ、生成物1moleに対して2 moleのNAD^+を消費していた。 (3)ω-ヒドロキシ脂肪酸脱水素酵素活性が広い基質特異性を持つアルコール脱水素酵素の働きによるものかを検討した。エタノールを基質としてアルコール脱水素酵素の熱安定性を検討すると、比較的安定であるのに対して、ω-ヒドロキシ脂肪酸脱水素酵素活性は熱に対して究めて不安定であった。またアルコール脱水素酵素はCyanamideで全く阻害されないのに対して、ω-ヒドロキシ脂肪酸脱水素酵素活性は、50mMのCyanamideで50%阻害された。これらの結果により肝細胞質には、ω-ヒドロキシ脂肪酸を特異的に脱水素する酵素の存在が強く示唆された。
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