1997 Fiscal Year Annual Research Report
森林土壌の水分変動に基づく蒸発散量の推定に関する研究
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08660182
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Research Institution | Sizuoka University |
Principal Investigator |
土屋 智 静岡大学, 農学部, 教授 (60197720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
逢坂 興宏 静岡大学, 農学部, 助教授 (20252166)
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Keywords | 土壌水分 / 不飽和浸透流 / 蒸発散 / ソイルカラム |
Research Abstract |
森林地での蒸発散は,林冠遮断にともなう蒸発を除き,降雨浸透により一旦土壌に貯留された水分が植物根系を経由し蒸散する過程と,直接土壌面から蒸発する過程に区分され,ともに森林土壌中の水分を消費することになる.一方,森林土層内の水収支は,降雨浸透する水分量,樹木の蒸散作用により失われる水分量と土層外に重力水として降下浸透する水分量により決まるので,土層間の上下端の水分フラックス量が把握できれば,各項の定量的評価が可能となり,蒸発散量(樹冠遮断による蒸発を除く)を推定することができる.この考えから,標準砂およびクロボクカラムを用い,サクションの変化およびカラム内の水収支から土壌水分の移動量(フラックス量)を測定し,不飽和浸透流解析を用いて水分フラックスの追跡をおこなった.この結果,標準砂カラム,クロボクカラムともに実測水分移動量と不飽和浸透流解析により得た水分移動量は良好な一致を見せた. また,この概念を実際の森林地に適用するため,土壌サクションの時系列変化を計測し,計測値から求めた動水勾配に不飽和透水係数を乗じ,水分フラックス量を評価した.今回測定した深さは10cmと40cmであり,林床表面から10cmまでの区間の蒸発量は評価できていないが,概ね妥当と判断される結果を得た.林床面からの蒸発をより正確に評価するにはできる限り林床に近い部分の異なる2点間のサクションを観測する必要があり,これについては今後の問題点として総括された.
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Research Products
(2 results)