1998 Fiscal Year Annual Research Report
森林生態系における窒素循環機構の生物的エネルギー利用からの解明
Project/Area Number |
08660188
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
徳地 直子 京都大学, 農学研究科, 助手 (60237071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 麻美 京都大学, 農学部附属演習林, 助手 (60273497)
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Keywords | 森林生態系 / 森林土壌 / 窒素循環 / 窒素形態変化 / 硝化作用 / エネルギー源 |
Research Abstract |
従来行われている土壌の窒素無機化速度は、培養期間前後の無機態窒素のプールサイズの差をもって、純無機化速度とするものであった。しかし、純無機化速度が同じ土壌においてもかならずしも総無機化速度は一致しない。その原因として、純無機化速度は不動化を考慮していないことがあげられる。本研究で注目する炭素の可給性は不動化に大きく影響するため、総無機化速度を測定することがぜひとも必要であると考える。不動化を考慮した総無機化特性とその規定要因を明らかにするため、竜王山森林試験地の斜面に沿って設けられたトランセクトにおいて、斜面下端から15m間隔で尾根にいたる10地点から採取された土壌をもちいて、同位体希釈法を用い総窒素無機化速度からも解析を行った。純無機化速度には斜面方向で大きな違いがみられなかったが、総窒素無機化速度は斜面下部で大きく、斜面上部の4倍以上の値をとった。斜面上の位置で大きな違いのみられた純硝化速度に対して、総硝化速度にも顕著な違いがみられ、その違いはさらに大きくなった。これらの結果は、斜面上部での大きい土壌C/Nは、斜面上部でアンモニア化速度が小さく、無機化された窒素は豊富な炭素を用いて微生物の不動化を受けることを、斜面下部での小さい土壌C/Nは斜面下部で窒素に対して炭素が不足しており、アンモニア化された窒素がすぐに硝化されるものと理解された。以上のように、土壌の窒素無機化過程を規定する要因として、窒素に対する炭素の相対的な可給性が示された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 中西麻美: "森林表層土壌における無機態窒素の動態とカチオン濃度の対応" 京都大学農学部演習林報告. 69. 14-25 (1998)
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[Publications] Tokuchi,N.: "Gross N Transformation in a coniferous forest in Japan" Environmental Forest Science. 54. 239-244 (1998)
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[Publications] Hirobe,M.: "Spatial variability of soil N transformation Patterns" European Journal of Soil Science. in press.