1997 Fiscal Year Annual Research Report
氾濫原・扇状地における地水動態と渓流地形の関係に関する研究
Project/Area Number |
08660196
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Toyama Prefectual University Junior College |
Principal Investigator |
高橋 剛一郎 富山県立大学短期大学部, 農業技術学科, 講師 (40163258)
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Keywords | 氾濫原・扇状地 / 地下水 / パイピング / トレンチ / hyporheic zone |
Research Abstract |
調査地には埋積流路を地下水が流動したことによって形成されたと予想される特異な侵食微地形(トレンチ)が2ヶ所存在する.一昨年度までは一ヶ所を中心に地下水動態の観測(ピエゾネータ作説,地下水位の降雨との応答関係調査,トレーサによる地下水経路の調査等)を行なっていたが,昨年度からはもう一つのトレンチでの観測をはじめ,今年度はその観測に重点を移した.この調査からは基本的に従来の調査結果を越える特段の新しい結果はでず,従来からの結論を補強することになった. 1997年8月の降雨により,古くから観測を行なっていたトレンチにおいてパイピングによると思われる小規模な上砂移動が生じた.従来の研究からこのトレンチの形成は埋積流路の存在とパイピングによると予測していたが,この現象はこれを裏付けるものであると考えられ,この土砂移動現象の記載およびトレンチ周辺の詳細な測量を行なった.従来からの地下水動態観測結果および経時的に撮影された空中写真の判読と合わせて上記予測に関する妥当性を検討した. これらの研究結果を総合的に考察し,氾濫原・扇状地などにおける沖積過程(fluvial processes)と地下水が関係していること,および近年生態学において注目されているhyporheic zone(河床間隙帯)に沖積過程が関係し,沖積地の構造や地下水動態が多様な環境をもたらす要素となっていることなどを考察した.
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[Publications] 五味高志,笹賀一郎,高橋剛一郎,新谷融: "北海道北部蛇紋岩地帯渓流における氾らん原上の流路形状とその分布におよぼす土砂移動の影響" 地形. 19(1). 1-18 (1998)
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[Publications] 高橋 剛一郎: "低ダム群工法の負道機能に関する研究" 新砂防. 50(5). 43-50 (1998)
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[Publications] 高橋 剛一郎: "砂防事業と環境アセスメント" 新砂防. 50(4). 51-56 (1997)
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[Publications] 前川 光司,高橋 剛一郎: "渓流魚と砂防工事" 新砂防. 50(1). 61-65 (1997)
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[Publications] 太田猛彦・高橋剛一郎: "環境,特に生態系と調和した砂防の基本的考え方" 新砂防. 49(6). 37-39 (1997)