1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08660197
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
高橋 孝悦 山形大学, 農学部, 助教授 (50143087)
|
Keywords | スギ / ノルリグナン / 黒色化 / 黒心 / 心材 / アルカリ化 / アスコルビン酸 |
Research Abstract |
スギの材色は、材価を大きく左右することから、材色の形成や変色を研究することは大変重要なことである。特に、最近スギ心材の黒色化現象が大きな問題となっている。材色と密接に関係する成分として、ノルリグナン型フェノール性成分(以下ノルリグナン類と呼ぶ)がある。スギはagatharesinol, sequirin-Cを主成分とする固体(AS型)とsugiresinol,hydroxysugiresinolを主成分とする固体(SH型)があり、ノルリグナン類タイプから2つに分けられる。このため、両タイプのスギの黒色化現象とその防止方法を検討し、次のような成果が得られた。 1.発生原因 黒色する部分では、(1)AS型、SH型いずれのスギも急速にノルリグナン類が消失すること、(2)ノルリグナン類の内suquirin-C, hydroxysugiresinolの消失が著しいこと、(3)極めて含水率が高いこと、(4)カリウムイオンと炭酸水素イオンが多量に存在し、炭酸水素カリウムが蓄積していると推定されること、(5)pHが高くアルカリ性を示すこと。(6)sequirin-Cはアルカリにより暗紫色に急速に変色すること。この様に、ノルリグナン類の内、特にsequirin-Cが、スギ心材のアルカリ化、高含水率化によって変質し、心材が黒色化するものと結論された。 2.黒色化防止 黒色化する部分は、(1)酸処理により黒色化がある程度抑えられること、(2)還元処理(アスコルビン酸処理)により黒色化が防止できること。(3)黒色化原因成分であるsequirin-Cの変質を還元処理で防止できること。 この様に、酸やアスコルビン酸の中和・還元反応が有効で、スギの黒色化を防止することができると考えられた。 以上が研究実績の概要であるが、何故スギ心材のアルカリ化が生じるのか、ノルリグナン類以外の成分がどの様に黒色化に影響しているかについては、今後の需要な研究課題と考えられる。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 高橋孝悦: "スギ心材黒色化現象とノルリグナン類(II)" 日本木材学会誌. 44・2. (1998)
-
[Publications] 高橋孝悦: "スギ心材黒色化現象とノルリグナン類(III)" 第47回日本木材学会大会研究発表要旨集. 47. 405- (1997)
-
[Publications] 高橋孝悦: "スギ心材黒色化現象とノルリグナン類(I)" 日本木材学会誌. 42・10. 998-1005 (1996)
-
[Publications] Koetsu Takahashi: "The Relntionships between the Strcutulal Difference of Norligrans and coloration" Transaction of M. R. S. J. 20. 159-162 (1996)
-
[Publications] 高橋孝悦: "ノルリグナン型フェノール性成分の構造と着色化について" 日本MRSシンポジウム「植物系新材料の最近の進歩」研究発表要旨集. 257-260 (1996)
-
[Publications] 高橋孝悦: "スギ心材黒色化現象とノルリグナン類(II)" 第46回日本木材学会大会研究発表要旨集. 46. 404- (1996)