1996 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ素化合物を内蔵したマイクロカプセルの注入による木材保存処理の研究
Project/Area Number |
08660214
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Akita Prefectural College of Agriculture |
Principal Investigator |
山内 繁 秋田県立農業短期大学, 木材高度加工研究所, 講師 (30279509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 好紀 秋田県立農業短期大学, 木材高度加工研究所, 教授 (00279506)
土居 修一 秋田県立農業短期大学, 木材高度加工研究所, 教授 (20279508)
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Keywords | 木材 / マイクロカプセル / ホウ素 / ホウ酸 / ポバ-ル / 保存 |
Research Abstract |
われわれは上記表題の研究課題についてまず、木材中でホウ素化合物のマイクロカプセルとして最適の物質を探すことから着手した。カプセルとなる吸着剤として無機物と有機物を比較した場合、難燃性、寸法安定性など他の効果も期待できることを考慮し、前者について実験を進めた。ゾル-ゲル法により低温での合成が可能である点とコストの点から無機吸着剤の中でもシリカゲルに着目し、これに対し水溶液中でホウ素を吸着させることを試みた。ホウ素化合物としてはホウ酸を用い、粒径、細孔径が異なる数種類のシリカゲルを2〜10%のホウ酸水溶液に浸漬し十分な攪拌の後、一日静置して上澄み液のホウ素濃度を原子吸光で測定したが、シリカゲルの量に関わらず原液と同じ濃度を示し水溶液中ではホウ素の吸着が殆ど起こらないことがわかった。また、NaOHでpHを変えても吸着は起こらなかった。これに対し、トリメチルホウ酸(B(OCH_3)_3)を蒸気としてシリカゲルに吸着させる気相吸着の実験では、完全に脱水したシリカゲルに対しほぼ同じ重量のトリメチルホウ酸が吸着することが明らかになった。しかし、水への浸漬によりトリメチルホウ酸はただちに分解してシリカゲルから脱離しホウ素を保持することはできなかった。他の無機吸着剤としてアルミナでも吸着実験を行ったが同様に吸着は起こらなかった。ゼオラライトはコストの点で不適であると判断し実験は行わなかった。 そこで、有機物に視点を移し、水溶性だがホウ酸の添加によりゲル化し、ゲル内部にホウ素を取り込むポリビニルアルコール(ポバ-ル)についてマイクロカプセルとしての評価を行っている。木材に対し、ポバ-ル、ホウ酸の順で水溶液からの注入を試みた結果、両者が木材に含浸することが判明した。現在、木材中に含浸したホウ酸の量を調べ、ポバ-ルの重合度やホウ酸水溶液の濃度など最適の含浸条件について検討している。また同時に溶脱試験も行っている。
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