1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08660223
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松下 克己 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (00012039)
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Keywords | 初期生活史 / 輸送 / 浮遊卵 / 資源変動 / 漂流ハガキ |
Research Abstract |
多獲性浮魚類の資源変動機構の解明にあたって、生活史初期の大量減耗が重要な原因と考えられて様々な研究が行なわれている。多獲性浮魚類の多くは沖合で産卵を行ない、一部が成育場である沿岸域に移入しシラス漁業へ加入する。泳力がないかあるいは乏しい浮遊卵・仔魚が、沖合から沿岸域へどのようにしてフロントを越えて移入を果しているかいまだ不明の点が多い。本研究は、沖合と沿岸域の接点である沿岸フロントを調査対象の中心にして移入機構を明らかにすることを目的としいる。 相模湾におけるカタクチイワシを対象として、沿岸フロントを横断する測線において、浮遊卵・仔魚および動・植物プランクトンの連続採集による微細分布調査およびMTDネットによるフロント内外の各層曳網、海洋観測、漂流ハガキの放流を実施した。また、伊豆諸島海域での黒潮フロントを含んだグリッド観測、定期航路船を利用した漂流ハガキの連続放流を行なった。また、黒潮による輸送過程をモニターするために、東京-宮崎、鹿児島-那覇間の定期航路線によって、漂流ハガキの放流を行ない季節風による接岸の阻害について検討した。 シラス漁業によって採集された仔魚の日齢組成についても調べ、移入の成否を判定し、この成否が何によっているかを検討した。 黒潮分枝流に由来する沖合水系と三浦半島西岸での東京湾系水、河川水の間で様々なフロントが形成されていた。それらのフロントの縁辺部に、カタクチイワシ浮遊卵・仔魚の集積が認められ、沿岸域にも若干認められた。沖合側に放流された漂流ハガキの多くはフロントを越えず湾外へ移動していたが、フロント域の漂流ハガキの一部については沿岸域(海岸)に漂着していた。このことから、フロントへの集積を前提にして、一部の浮遊卵が物理的に沿岸域への移入をするものと考えられた。また、漂流ハガキの湾内・湾外での回収率と浮遊卵分布調査日産れのシラス量と関連が認められた。
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