1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08660228
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今井 一郎 京都大学, 農学研究科, 助教授 (80271013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 紘之 京都大学, 農学研究科, 教授 (80026567)
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Keywords | 赤潮 / ラフィド藻 / Chattonella / Heterosigma / シスト / シスト形成小型細胞 / 窒素 / 越冬 |
Research Abstract |
海産ラフィド藻類には,養殖魚類の大量斃死を招く有害赤潮を引き起こす種類が多い。赤潮ラフィド藻においては,多くの種が越冬形態として生活史の中でシストの時期を持つことが知られるようになってきた。そしてシストは赤潮の発生源となり,分布域の拡大にも寄与していると考えられる。またシストの形成条件を明らかにすることにより,赤潮の発生〜消滅に至る個体群動態がより正確に把握できることが期待される。しかしながら,シストの形成条件が判明しているのは,Chattonella antiquaとC.marinaの2種だけであり,他の種類においては依然としてシストの形成条件は不明である。本研究においては,他のChattonella属のものをはじめとしてHeterosigma akashiwo等の有害種について,シストの形成条件を明らかにすることを目的としている。本年度得られた成果は以下の通りである。 (1)現場海域で発生したHeterosigma akashiwo赤潮の末期の細胞を,現場水温(20℃)で暗黒条件下に置いた時,まず通常の栄養細胞よりも小さい「シスト形成小型細胞」と判断される小型の細胞が観察され,そしてシストが形成された。シストは,発芽が可能になるまで約2週間の休眠・成熟期間を必要とした。 (2)Heterosigma akashiwo,Chattonella ovata,Chattonella verruculosaの3種について,培養条件下で栄養条件を変化させてシスト形成実験を行った。その結果,窒素欠乏条件下で,H.akashiwoとC.ovataのシスト形成小型細胞と判断される小型の細胞が形成された。しかし健常なシストの大量形成には至らなかった。またC.ovataの場合,窒素欠乏を経験した細胞は温度22℃の暗黒条件下で4週間以上生存するという,暗黒下での長期生存能力を獲得することが判明した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Itakura S.et al.: "Cyst formation in the red tide flagellate Heterosigma akashiwo(Raphidophyceae)" J.Plankton Res.18. 1975-1979 (1996)
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[Publications] Imai I.et al.: "Harmful and toxic algal blooms" Intergovermmental Oceanographic Commission of UNESCO, 197-200 (1996)
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[Publications] 今井一郎: "赤潮の科学(第2版)" 恒星社厚生閣(印刷中), (1997)