海産有用魚の生活史初期におけるBioenergetics

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 08660232
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
• Research Institution: Kyushu University
• Principal Investigator: 及川 信 九州大学, 農学部, 助手 (10175234)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 神田 猛 宮崎大学, 農学部, 助教授 (80183292)
• Keywords: 代謝量 / 酸素消費量 / スケーリング / トラフグ / アロメトリー / アンモニア / 仔魚 / 稚魚

Research Abstract

【目的】魚類の個体当り代謝量M(生きていくために必要なエネルギー量)と体重Wの間にはM=aW^bのアロメトリーの関係がある。この関係の個体発生を知るために、生きたトラフグTakifugu rubripes仔稚魚の酸素消費量とアンモニア排出量、ならびに細切したトラフグ仔稚魚の酸素消費量を測定した。
【方法】長崎県野母崎町のNCC開発(株)で孵化・育成された湿重量0.00068g(孵化直後)〜3.0g(57日齢)のトラフグ仔稚魚を用いた。生きた魚の酸素消費量を止水式、半止水式ならびに流水式で、アンモニア排出量を比色法で、細切した魚の酸素消費量を検量法で、いずれも20で測定した。
【結果】単位体重当り酸素消費量M/W(O_2μl/min/g)は孵化直後(体重0.00068g)から8日齢(0.00084g)までの前期仔魚では体重をあまり変化させずに5.1から15μl/min/gまで日齢と伴に直線的に増大した。後期仔魚期以降はM(O_2μl/min/fish)とW(g)の間にはM=aW^bの関係があり、b値は以下の3つの発育段階のどれでも0.84であった。しかしa値は発育段階が進むにつれて増大し、後期仔魚期(0.0014-0.0078g)には4.3、稚魚期(0.0098-0.12g)には5.7、幼魚期(0.13-3.0g)には7.2であった。a値が増大するのは魚の活動度が発育段階に進むにつれて増大するためと考えられた。細切した仔稚魚の酸素消費量と体重の関係ならびに生きた仔稚魚のアンモニア排出速度と体重の関係も、生きた仔稚魚の酸素消費量と体重の関係と同様に、発育段階により異なっていた。