1998 Fiscal Year Annual Research Report
肉用牛飼養における経営構造の革新と地域飼養システムの形成に関する実証的研究
Project/Area Number |
08660271
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
浜田 年騏 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (10032575)
|
Keywords | 地域飼養システム / 補完機能 / 経営、技術革新機能 / 中山間地 / 担い手 / 産地形成 / 小規模飼養農家 / 再生産機能 |
Research Abstract |
10年度は、前年度で残された課題となっていた地域飼養システムについて、調査と分析を中心に行った。岐阜県朝日村・清見村において地域飼養システムの機能と役割、とりわけ、個別農家の補完機能と経営・技術革新機能について調査・分析した。鹿児島県菱刈町では、担い手農家の地域飼養システムへの関わりのなかから、担い手農家がどのような役割を果たしかつメリットを受けているか調査・分析を行った。また、兵庫県温泉町、岡山県津山市、広島県美土里町、山口県日置町等では、中国中山間地に立地する担い手農家層が地域農業(集落営農、共同機械利用等)とどのような連携の中で成立しているかについても調査・分析を行った。 今年度得られた成果は、(1)、各地で形成されつつある地域飼養システムは、従来の産地形成(論)とは機能・領域が異なり、飼養農家の保全や担い手形成に直接的な支援機能を果たしている。(2)、また、肉用牛生産・経営という枠内だけでなく、地域農業や地域資源との関わり、さらには地域全体との関わりなど広域的連携が重視されたものとなっている。なお、この点についてはさらなる検証が必要である。いずれにしても、現在導入されつつある各地の地域飼養システムには、飼養農家の経営基盤の補強機能が内包されたものが多く、飼養継続や規模拡大さらには技術の革新に一定の役割を果たしている。しかし、小規模飼養農家の存続については延命機能は果たしているが、その再生産機能は乏しい。再生産機能を持つには前年度までに明らかにした牛舎(所有形態、牛舎構造)、飼料生産構造(飼料供給システム、地域飼料生産体制)の改革を含む、さらなる革新的な地域飼養システムの形成が必要となろう。
|