1996 Fiscal Year Annual Research Report
棚田の「空間創出」機能維持に関する経済学・土壌学的研究
Project/Area Number |
08660272
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
飯國 芳明 高知大学, 人文学部, 助教授 (40184337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新保 輝幸 高知大学, 人文学部, 講師 (60274354)
櫻井 克年 高知大学, 農学部, 助教授 (90192088)
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Keywords | 棚田 / 空間創出 / シバ草地 |
Research Abstract |
研究は大きくシバ装置の土壌分析と棚田の経済分析に分かれる。まず、土壌分析結果は以下の通りである。三原村清水川牧場、高知県畜産試験場、南国市白木谷斉藤牧場、奈半利町花田牧場において、5、9、11月に現地調査を行った。現地において土壌水分・地温のモニタリングを行うと同時に、土壌貫入試験、現場透水係数の測定、土壌試料および河川水試料の採取を行った。土壌試料からは水抽出(土壌:水比=1:5、1時間振とう)を行い、水溶性塩類(カチオン・アニオン)を測定した。河川水についてはpH、電気電導率の測定および塩類(カチオン・アニオン)を測定した。土壌硬度の測定から、降水量の少ない月に極めて硬くなっていることがわかった。また、森林植生下では土壌水分・地温の変動が激しいが、シバ草地は比較的一定していることがわかった。土壌中の水溶性塩類の分布は、地形とよく対応していた。河川水には山地酪農に由来する環境汚染は起こっていなかった。 経済分析では高知県大豊町柚木集落および蔭集落をフィールドとして棚田の空間維持機能に関する基礎的調査を行った。まず、両集落の国土調査結果をスキャナで取り込み、各農家の棚田所有状況、耕作放棄地の分布、今後の耕作放棄予測を行った。これにより棚田と住空間の関係や今後どのようなかたちで耕作放棄が進むかについての基本的な情報を得た。また、棚田地帯の立地条件を主として地質構造から検討し、同棚田が御荷鉾構造線とよばれる地質上に広大な棚田が分布すること、および、この地質構造こそが大規模な棚田の住空間の創出を可能にしたことを解明した。この他、数戸の農家で簡単なコメの生産費調査を行い、稲作による棚田維持管理コストに高さを計測した。
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