1996 Fiscal Year Annual Research Report
条件不利地域農業問題に関する地代論的研究-日欧の比較をつうじて-
Project/Area Number |
08660275
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
溝手 芳計 山口県立大学, 社会福祉学部, 助教授 (00174053)
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Keywords | 条件不利地域 / 中山間地域農業 / 土地条件 / 耕境の後退 / 稲作収量 |
Research Abstract |
低収益農業地帯としての中山間地域農業の特質を検出することを目的に、主として山口県を対象に、中山間地域が多い、「周防山間」と「長門山間」、及び平地が多いその他市町村に区分して、地域別データを整理した。その結果、高度成長期の植林・耕作放棄による人為漬廃の進行は、「周防山間」が頭抜けて激しく、他方、「長門山間」は平地市町村と大差なく、農水省の地域区分では同じく中山間地域であっても、耕境の後退が激しく進んだところとそうでない地域があることがわかった。同時に、稲作反収では長門地域が周防地域に比べ一貫してはるかに高い収量を記録していること、「長門山間」の1戸当たり経営耕地規模が「周防山間」に比べて大きいことなど、土地に関わる生産条件のあり方と耕境の後退とが密接に関連していることを示す指標も検出された。 中山間地域農業の実状と背景を理解するため、京都府北部の宮津市、弥栄町で聞き取り調査した。その結果、1960年代に進んだ丹後半島の急速な過疎が、エネルギー革命による炭焼きの崩壊という林業的土地利用の後退現象と密接に関連していることがわかり、土地のもつ人口扶養力のあり方が中山間地域問題を規定していることが明らかになった。 このほか、本年度の当初計画では、統計分析により土地改良と土地生産力の地域間格差の関連を検討することを予定していたが、資料収集に手間取り、来年度の課題として残った。また、英国の丘陵地農業及びLFA政策について現地研究者のアドバイスを受けたが、来年度の準備作業なので説明を省略する。
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