Research Abstract |
おんじゃくとは,佐賀県北西部(上場地域)において,玄武岩類の風化土につけられた名称である.おんじゃくは,日本統一土質分類法によるとその大方は粘性土に分類され,その主要粘土鉱物はメタハロイサイト,加水ハロイサイト、クロライトである.この土の一般的な特徴は土粒子の密度が2.8〜3.1g/cm^3と一般の土に比べて高く,粘土分含有量の割に含水比や飽和度が高く,乾燥密度が1g/cm^3程度と小さいことである。 実験に用いた試料は赤坂ダムのダムサイトで採土した赤色のおんじゃくであり,標準締固めによる最適含水比と最大乾燥密度は37.5%,1.27g/cm^3である.締固めエネルギーの増加に伴って最適含水比は減少し,密度は増加する.本年度の研究においては,締固めたおんじゃくの圧縮性と水浸による沈下について実験的に検討した. 締固めおんじゃくのe-logp曲線(e:間隙比,p:圧縮応力)は,過圧密土のそれに似て,圧縮降伏応力p_yの前後において勾配の変化を示す.締固めエネルギーが一定である場合,締固め土のp_yは,含水比の増加に伴って減少し,密度よりも含水比の影響を大きく受ける.締固め後に水浸を受けた試料のp_yは最大乾燥密度で最大値を示し,密度の影響を顕著に受ける.また,圧縮指数は,含水比が最適含水比より低い場合,含水比の増加に伴い減少し,含水比が最適含水比以上になるとほぼ一定値を示す.初期水浸土の圧縮指数は,含水比に関わり無くほぼ一定である. 締固めおんじゃくは,圧縮圧力が低い領域においては水浸によって膨張し,中位の圧力の下では沈下を示すが,高い圧力の下では膨張も沈下も示さない.締固め土が水浸によって膨張あるいは沈下を示す範囲は,初期水浸土と非水浸土のe-p曲線に差異がある部分である. 締固めおんじゃくの水浸による沈下(コラプス)の発生条件は,含水比が最適含水比以下で,飽和度が80〜90%以下の場合であり,その程度は圧縮圧力がp_yよりやや大であるところで最大である.
|