1996 Fiscal Year Annual Research Report
多成分化学反応を考慮した地下水中における物質輸送モデリング
Project/Area Number |
08660302
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
籾井 和朗 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (40136536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長 勝史 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (20038235)
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Keywords | 地下水 / 物質輸送 / 化学反応 / 移流分散 / 数値解析 |
Research Abstract |
本研究では,地下水中における多成分化学反応を考慮した物質輸送の数値解析モデルの提案を行い,その妥当性について,解析解および実験結果との比較により検討を加え,以下の成果を得た。 1)移流分散方程式中の分散項は差分法により,移流項は特性曲線法により数値解析し,移流分散方程式中に含まれる未定の非線形パラメータである化学反応項の推定には,非線形最小自乗法を適用する計算アルゴリズムを新しく構築した。 2)土壌カラム中への高濃度カリウム溶液連続注入実験に対して,本数値モデルを適用した結果、各イオン濃度の空間分布の実測値と計算値はよい一致を示した。また,提案した数値モデルにより算定した塩素イオン濃度の数値解と、解析解とはほぼよく一致することを確認した。以上のことから,ここでの数値計算アルゴリズムは妥当であると考える。 3)多成分化学反応過程を考慮した解析を行うことによって,個々の可動陽イオンの時間変化や空間分布がそれぞれ異なっていることを実証した。この各可動陽イオンの空間分布形状の相違は,溶液や固相に含まれる各化学成分の濃度や土壌化学的パラメータ,例えば,選択係数や陽イオン交換容量に強く依存していることを明らかにした。これは,本研究で提案する地下水中における流れと化学反応との結合によりはじめて明らかにできるものであり,今後,地下水中での物質輸送機構をさらに検討する上で,極めて有効な解析法になると考える。
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