1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08660329
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
澤田 均 静岡大学, 農学部, 教授 (10183831)
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Keywords | シロクローバ / 放牧草地 / 時空間ダイナミクス / クローン植物 / クローン成長 / 栄養繁殖生態学 / 被食ストレス / クローン識別 |
Research Abstract |
前年度に引き続き,シロクローバ個体の挙動を追跡した。対象とした個体は,ペレニアルライグラス主体草地の慣行放牧区のものである。個体の空間的拡がりは季節的に拡大・収縮しやすく,特に冬から春に著しく収縮し分断した。これは降霜と融解のサイクルによるものであった。分断箇所を詳しく分析した結果,ストロン頂端だけでなく,ストロン途中の発根・分枝位置を生かすように分断するものが見つかった。翌年の主根になる位置を生かすように分断する可能性が高い。これは従来のクローン成長の認識をくつがえす結果で,より現実的な成長モデルの構築に寄与する成果である。さらに,個体が極度に収縮する現象(クラッシュ現象)を確認した。旺盛に成長していた個体が数年のうちに絶滅に至る過程をとらえることができた。この原因として,乾燥と被食の複合ストレスを2年連続して経験したこと,初夏にペレニアルライグラスによる被陰を経験したことが指摘された。 一方,ストロン部分の挙動を解析し,分枝戦略の実態を詳しくつかむことができた。シロクローバのストロンには長枝と短枝の変異がある。ストロン上の近傍サイトで長枝と短枝をつけるケースが見つかった。長枝は短枝の成長を犠牲にして旺盛に成長するが,被食されるリスクが高い,被食されるや短枝が長枝化して,被食に対する保険として機能することを初めて確認した。
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