1997 Fiscal Year Annual Research Report
キトサンによるルーメンバイパス蛋白用コーティング剤開発は可能か
Project/Area Number |
08660331
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Research Institution | TOTTORI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
関根 純二郎 鳥取大学, 農学部, 教授 (40001466)
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Keywords | キトサン / 反芻胃内分解様相 / モ-バイルバッグ / 第四胃(in vitro) / 小腸 / 大腸 / in situ培養 |
Research Abstract |
本研究では、異なる乾草を給与した去勢牛の反芻胃内培養においてキトサンが分解されるかを検証するとともに、培養後のサンプルが、第四胃あるいはそれ以降の消化管内において分解消失するかについて明らかにすることを目的とした。 方法:試験1.反芻胃、十二指腸および回腸末端部にカニューレを装着したホルスタイン種去勢牛にアルファルファ、バミューダグラスおよびオ-ツ乾草を自由採食させた。これら3種の乾草の消化率および消化管内通過速度を測定するとともに、キトサン約1gを目開き0.045mm,サイズ40×50mmのナイロンバッグに入れた。これらを10個まとめて大型のナイロンバッグに収容して、12,24,48,72,および96時間反芻胃内で培養した。 試験2.試験1と同じ牛を用いて、オ-ツ乾草および圧ぺん大麦を給与した。キトサン約0.5gを収容した目開き0.053mm,サイズ20×50mmのナイロンバッグ8個を一組としてこれらの牛の反芻胃内で24時間培養し、モ-バイルバッグ法により反芻胃以降のキトサンの分解・消失を測定した。反芻胃培養後、2個のバッグは洗浄後そのまま乾燥して重量を測定した。残りは牛の第四胃を想定したin vitro法で3時間培養した。そのうち2個のバッグは乾燥して重量を測定した。また、2個のバッグは、十二指腸カニューレから腸管内に投入した。残りの2個は、回腸末端部のカニューレから腸管内に投入した。腸管内に投入したバッグは糞中に回収し、洗浄後乾燥して重量を測定した。結果:試験1;3種類の乾草の粗蛋白質含量は、アルファルファがもっとも高く17.4%であり、バミューダグラスがもっとも低く4.8%であった。乾草の乾物摂取量は、粗蛋白質含量の多い順番に高いものであった。各栄養成分の消化率もおおむね乾物摂取量に準じていた。消化管内通過速度は、乾草による有意な違いは認められなかった。反芻胃内における24時間の培養ではキトサンの分解は、認められなかった。試験2;反芻胃内で培養していないキトサンは、in vitro法による第四胃培養では15%程度の消失が認められたが、反芻胃内培養後のサンプルの結果では、第四胃以降での分解消失はほとんどないか、ほんのわずかの量であった。下部消化管でのキトサン消失の明確な結果は得られず、今後検討が必要である。
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