1997 Fiscal Year Annual Research Report
乳酸桿菌の培養過程中の乳蛋白質分解とその分解に関するプロティナーゼに関する研究
Project/Area Number |
08660334
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu Tokai University |
Principal Investigator |
井越 敬司 九州東海大学, 農学部, 教授 (80148973)
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Keywords | L.bulgaricus / 発酵乳 / プロテアーゼ / ペプチド |
Research Abstract |
L.bulgaricusの乳中での生育機構解明に関して、本年度で次のような研究成果を得た。 1、市販ヨ-グルトより分離したL.bulgaricus MOを使用し、本菌の培養過程中の乳蛋白分解について調べた。乳蛋白カゼインは顕著な分解が認められなかったが、β-カゼインは分解されていた。また、同サンプル中の低分子ペプチドを高速液体クロマトグラフィーにより調べた結果、多数のペプチドピークを認めた。そのうちいくつかについてはその一次構造を明らかにした。その結果、αs2-CN(186-192),同(21-30)、β-CN(6-10)、同(58-63)、同(57-71)およびκ-CN(33-41)、同(53-65)等のペプチドが同定された。 2.同発酵乳よりプロティナーゼをDEAE-トヨパールクロマトグラフィー、DEAE-トヨパール再クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィーおよびゲルろ過再クロマトグラフィーにより分離精製した。その結果、収率5.8%、比活性にしておよそ275倍に濃縮された酵素を得た。本酵素画分を電気泳動にてその純度を調べた結果、複数の蛋白バンドが認められることから完全には精製されていないことが知られた。本酵素の至適pHは6.5、至適温度は35℃であった。また、pH4以下および8以上で急激に失活し、45℃まで比較的安定であった。EDTAで強く阻害され、またDIFPによっても阻害が認められた。Mn,Co,Mg及びCaによっては全く影響されなかった。本酵素をカゼインに作用させたところαs2とβ-カゼイン由来のペプチドを多数見つけた。これらペプチドには培養過程中に見出されるペプチドと一致しないものが存在した。従って、これらは乳酸菌の増殖に利用されたと考えられた。
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