1996 Fiscal Year Annual Research Report
鶏精子の運動調節における細胞内シグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
08660348
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
芦沢 幸二 宮崎大学, 農学部, 助教授 (60128353)
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Keywords | 精子 / 鞭毛運動 / プロテインキナーゼ |
Research Abstract |
本研究は、鶏精子の運動調節機構を明らかにする目的のため、除膜モデル精子を用いて実験を行ったものである。 我々が行ってきた一連の研究から、鶏精子の運動調節にCa^<2+>とカルモデュリンの関与が明らかになった。また、不動化現象は細胞膜の存在する正常精子ばかりでなく、Triton X-100で除膜した精子でも同様に認められる。したがって、この現象を引き起こす物質は鞭毛に残存していると考えられる。そこで、急激な凍結・融解などの物質的なショックを与えることによって、この温度感受性の調節物質が取り除けるか否かを検討した。その結果、-70℃あるいは-196℃で凍結・融解処理した精子の運動性は、無処理の対照区と同様に、77-85%の高い値を示した。除膜精子のATP消費量を測定したところ、いずれの区も200-210nmolATP/10^9精子/分であり、有意差は認められなかった。除膜精子の運動性に及ぼすプロテインキナーゼ合成基質ペプチドの影響を検討したところ、cAMP依存性プロテインキナーゼの基質ペプチドを添加しても影響を及ぼさなかった。これに対して、ミオシン軽鎖キナーゼの基質を添加すると精子の運動は著しく抑制された。 以上の結果から、凍結・融解処理などの物理的な損傷では、鶏精子の運動調節に関与する様々な物質を、鞭毛軸糸から取り除くことはできないものと推察された。さらに、精子の運動調節にはミオシン軽鎖キナーゼ様の酵素が関係していると考えられた。
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Research Products
(1 results)