1996 Fiscal Year Annual Research Report
ルーメンバクテリアのH^+-ATPaseの性質とその遺伝子クローニング
Project/Area Number |
08660351
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
日野 常男 明治大学, 農学部, 教授 (50012050)
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Keywords | ルーメン微生物 / 低pH耐性 / H+^+-ATPase / unc遺伝子 |
Research Abstract |
セルロース分解菌が低pHに弱い理由の一つは細胞内phを調節する能力が低いことにあり、それは細胞膜のH^+-ATPaseの活性が低いためであることをこれまでに明らかにした。その活性の低さは細胞当りの酵素量が少ないことによるが、酵素の性質の問題もあると考えられるので、この点について検討した。 低pHに耐性のある菌としてStreptococcus bovisを、また耐性のない菌としてRuminococcusalbus(セルロース分解菌)を供試し、各菌のH^+-ATPaseを精製して性質を比較した。精製過程での酵素の失活はR.albusの方が大きく、また膜からの酵素の可溶化やF部分とFの部分の解離され方も異なっていたことから、酵素の含量だけでなく、性質も両菌で異なると推定された。カラムクロマト後、電気泳動により調べたサブユニットのパターンからも、両菌のH^+-ATPaseが構造的にも異なることが示唆された。 更に詳しく調べるために、両菌のunc遺伝子(H^+-ATPaseをコードする)のクローニングとシークエンスを行った。先ずβ-サブユニットについて調べ、決定した塩基配列から推定したアミノ酸配列を解析した結果、両菌とも、Bacillsu属の菌やEnterococcus Hirae(Streptococcus faecalis)などとの相同性がかなり高かった。また、S.bovisとR.albusとの相同性は約80%であった。15EA09:このことから、両菌のH+-ATPaseは構造的にもかなり異なると考えられる。他のサブユニットについては目下分析中であるが、H^+-ATPaseは多数のサブユニットから成る巨大分子(分子量35〜40万)なので、全構造遺伝子を解析するには更に多くの時間を要するであろう。いずれにしても、両菌でH^+-ATPaseの構造がかなり異なると言えそうである。
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