1996 Fiscal Year Annual Research Report
精子由来の卵子活性化因子の分離と卵子活性化能力の評価
Project/Area Number |
08660352
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
細井 美彦 近畿大学, 生物理工学部, 講師 (70192739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入谷 明 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (80026385)
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Keywords | 顕微受精 / 前核形成 / 卵子活性化物質 |
Research Abstract |
本研究は精子の状態によって、卵子の活性化が影響される経験から、正常な受精で起こる活性化の機構が、膜融合だけによるのか、あるいは精子の持ち込む因子も関係するのかを解明しようとしたものである。この点は、生物発生の開始に関する極めて興味深い事象であるが、精子が一定条件でないと受精できない通常受精法では想定できず、顕微受精という技術がなければ浮上しなかった可能性もある。そこで、本年度は、精子の抽出液による卵子の活性化能力の種を越えた普遍性を示し、精子が胚発生の開始時に、雄ゲノムを運ぶ役割以外に果たす役割の存在を明らかにした。精子抽出方法:対象は多量に採取できるブタの精子を用いた。採取されたブタ精子濃厚部を凍結保存し、使用直前に解凍した。精子は5-10X10^<8/>/mlに細胞内イオン組成に調整された細胞内様培養液(ICM)で希釈した後、超音波破砕器で5分間処理した。この溶液を15,000gで10分間遠心して液状部分と固形部分に分けた。卵子への注入と判定:その後、この上清分画を過剰排卵したハムスター卵子に10個ずつ注入し、経時的に観察した。5時間目までに前核形成した数をその液の力価とする。その結果、この上清は、注入5時間後には30%程度のハムスター卵子を活性化することが判明した。また、濃度依存的に活性化率は上昇するが、濃すぎるとその活性化率は下降することが分かった。まとめ:精子の他動物種卵への注入による活性化と本研究成果から、精子の卵子活性化物質は種を越えて効果があることが示唆された。現在、この物質が活性化した卵子の初期分割にたいする影響を検討中である。
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