1996 Fiscal Year Annual Research Report
Bcg遺伝子が細菌感染後のマクロファージ諸機能に及ぼす作用について
Project/Area Number |
08660366
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
後藤 義孝 宮崎大学, 農学部, 助教授 (30142136)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新城 敏晴 宮崎大学, 農学部, 教授 (10040859)
|
Keywords | Nramp / Bcg遺伝子 / 感染抵抗性 / マクロファージ / 鳥型結核菌 / 抗酸菌 / M.avium |
Research Abstract |
我々は抗酸菌に対するマウスの感受性が遺伝子的要因によって決定されるという事実の着目し、ユニークな感染モデルを作り出した。鳥型結核菌(M.avium)に対するマウスの感染初期抵抗性は第一染色体上にあるBcg遺伝子(現在は自然抗性関連マクロファージタンパク;Nrampと呼ばれている)により支配されていることが分かっているので、感受性のC57BL/6マウスに抵抗性マウスのBcg遺伝子を21代にわたる戻し交配により導入し、Bcgコンジェニックマウスを作り出した。同マウスのNramp遺伝子の塩基配列をしらべたところ、C57BL/6マウスのそれとわずかに1塩基異なるのみであり、同遺伝子によってコードされるタンパクのわずか1アミノ酸の違いがM.avium感染初期に対する感受性/抵抗性を決定づけているという結論に達した。さらに感受性マウスは50〜60週後には重篤な結核性病変により死亡するのに対し、コンジェニックマウスは、感染初期のみならず感染全期間を通じて抵抗性を示すことから、Bcg(Nramp)がM.avium感染症においてそのマウスの運命を決定し得る遺伝子であることをはじめて明らかにした。我々はさらに同遺伝子のマクロファージにおける生理作用をしらべ、(1)Nramp遺伝子はIa抗原の表出と密接な関連をもち、抗酸菌抗原のT細胞への提示能力を高めること、(2)マクロファージの異物貧食能ならびに殺菌活性物質とされる窒素酸化物や活性酸素の産生には関与しないこと、(3)感染マクロファージから産生されるサイトカイン(IL-1.IL-10など)の量は同遺伝子の影響下にあること、をあきらかにした。
|
-
[Publications] Xu De Long al.: "Establishment of Bcg^r congenic mice and their susceptibility/resistance to mycobacterial infection." Veterinary Microbiology. 50. 73-79 (1996)
-
[Publications] 後藤義孝: "感染に対する自然抵抗性と遺伝的背景" 呼吸器疾患・結核と資料展望. 18. 15-31 (1996)
-
[Publications] Goto Yoshitaka et al.: "The role of macrophages and lymphocytes in the protection of Bcg chimera mice." Thirty-First Research Congress on Tuberculosis and Leprosy. 31. 115-119 (1996)