1997 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍血管の病理学的特殊性-樹脂鋳型走査型電子顕微鏡法による三次元的観察-
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08660390
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
二宮 博義 麻布大学, 獣医学部, 教授 (00063967)
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Keywords | 腫瘍血管 / 自動血流調節能 / 樹脂鋳型法 / 乳癌 / 中膜の線維化 / 血管病変 / 血管の自動収縮能 / 連続切片法 |
Research Abstract |
これまで、我々はラット線維腺腫、ラット線維肉腫、ラット乳頭状腺腫、イヌ扁平上皮癌、イヌ可移植性性器腫瘍、イヌ肝癌の血管系について観察し、それぞれの腫瘍血管の特徴を明らかにしてきた。それぞれの腫瘍血管に共通する特徴として、腫瘍動脈の分枝部では血流調節機構であるintra-arterialcushionが存在せず、腫瘍内の動脈は血管壁に退行性の変化が認められることを確認している。平成9年度では、7,12di-methyl-benzathracene誘発ラット乳癌の腫瘍血管の壁構造の変化を、心臓から腫瘍に到達するまでの血管をX線造影により観察し、腫瘍と全身の血管系との関係を明らかにし、さらに腫瘍に至る各部位の血管の連続組織切片を作成し、腫瘍動脈の血管病変を観察した。また、別の担癌ラットの血管系には合成樹脂を注入して血管鋳型標本を作成し、腫瘍の微細血管系を走査型電子顕微鏡で詳細に観察した。その結果、腫瘍から離れた部位の動脈では血管壁構造には変化がなく中膜を構成する平滑筋は層状に豊富に存在するが、腫瘍付近の動脈壁には平滑筋細胞に形質溶解様変化や空胞化などの退行性変化が顕著で、腫瘍内の動脈では中膜の平滑筋細胞層が消失して膠原線維からなる結合組織に置き換えられていることを認めた。この事実は、腫瘍動脈に変性が起きれば動脈本来の血流調節の為の自動収縮能はあり得ず、『腫瘍への血流あるいは腫瘍内の血流に合理性がなく、独特の血流動態が認められる』という説を、病理組織学的に裏付けるものと考えている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H.Ninomiya,T.Inomata,K.Ogihara: "Glomerular vascular changes in KK-AY mice with early diabetes;Scanning electron microscopy of vascular resin casts" J.Vet.Med.Sci. 60(1). 103-106 (1998)
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[Publications] H.Ninomiya,T.Inomata: "Histological changes in the endometrial arterides during postpartum in the Chinese hamster(Cricetulus griceus)" J.Vet.Med.Sci. 60(3)(in press). (1998)