1997 Fiscal Year Annual Research Report
腎毒性検出モデルとしての腎部分切除ラットの有用性に関する研究
Project/Area Number |
08660393
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Research Institution | Sasaki Institute |
Principal Investigator |
吉田 緑 (財)佐々木研究所, 病理部, 研究員 (70201861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 進 (財)佐々木研究所, 病理部, 研究員 (10240433)
高橋 正一 (財)佐々木研究所, 病理部, 主任研究員 (50132767)
前川 昭彦 (財)佐々木研究所, 病理部, 部長 (30106182)
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Keywords | 腎部分切除 / 生化学的指標 / ラット / 腎毒性 / 病理 / 腎機能 / ビューロマイシン / ゲンタマイシン |
Research Abstract |
〔前年までの結果〕腎部分切除ラットの腎機能は、正常動物と比較して多くの面で変化が生じており、生化学的な特徴として急性腎不全期、安定期および下降期の3相に区分され、且つこれらの変化は形態学的変化と相関していることが明らかとなった。 〔本年度の目的〕腎機能が変化する上記3相の各時期において、腎部分切除ラットの腎毒性に対する感受性の増強・減弱、あるいは質の変化を観察する目的で本実験を行った。 〔材料および方法〕8週齢のWistar系ラットの腎臓を5/6摘出し、腎部分切除ラット(NX)を作製した。急性腎不全期、安定期および下降の各時期に代表的な腎障害物質であるゲンタマイシンおよび安定期に低用量のピューロマイシンを投与し、模擬手術を行った同系統ラット(non-NX)と発現した腎毒性の程度について生化学的および病理学的に比較した。 〔結果および考察〕ゲンタマイシンによる尿細管障害は、生化学的および病理学的にもNXラットにおいてnon-NXラットより明らかに強く発現し、その傾向は安定期で顕著であった。ピューロマイシンの低用量(0.8mg/kg x 14days)投与により、NXラットではNX動物における腎機能障害の指標である血清クレアチニンの有意な上昇および蛋白尿、FR_<Na,,K.CI>およびFRwaterの減少が認められたが、non-NX動物には観察されなかった。NX動物の変化はnon-NX動物にビューロマイシンを高用量(15mg/kg x 9days)投与した際に観察される変化と類似していた。またいずれの群においても糸球体の病理学的変化は光顕的に観察されなかった。 以上の結果から、腎部分切除動物は尿細管および糸球体の腎障害物質に対して感受性が高く、その感受性は切除後4〜10週の安定期において特に高いことが明らかになった。したがって腎部分切除ラットは腎毒性検出のための有用なモデルであり、検出のためには切除後安定期において検査することがより効果的であることが示された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Yoshida M et al.: "Appearance of eosinophilic granule(EG)cells・・・・・" Toxicol.Pathol.25. 321-325 (1997)
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[Publications] Yoshida M et al.: "A uterine choriocarcinoma in a virgin Donryu rat" Toxicol.Pathol.25. 644-646 (1997)
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[Publications] Hiramoto S., Yoshida M.et al.: "Stage-specific expression of a・・・・・・・・" Biochem.Biophysiol.Res.Com.241. 439-445 (1997)
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[Publications] Kitamura T., Yoshida M.et al.: "Lack of carcinogenicity of thiamphenicol in F344 rats" Food and Chemical Toxicology. 35. 1075-1080 (1997)
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[Publications] Ando-Lu J., Yoshida M.et al.: "Thirteen-week subchronic toxicity study of thiamphenicol・・・・" Toxicol.Let.91. 137-146 (1997)