1996 Fiscal Year Annual Research Report
エクトイン合成系遺伝子を利用した耐塩性付与に関する研究
Project/Area Number |
08660398
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小野 比佐好 大阪大学, 遺伝情報実験施設, 助手 (40224274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 嘉信 大阪大学, 工学部, 助教授 (90161182)
室岡 義勝 大阪大学, 工学部, 教授 (60029882)
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Keywords | 浸透圧耐性 / 大腸菌 / エクトイン / エクトイン合成遺伝子 |
Research Abstract |
本研究は、エクトインを主たる高浸透圧保護物質として合成蓄積するHalomonas elongataのゲノムDNAより得たエクトイン合成酵素遺伝子(ectA,ectB,ectC)の発現様式を明らかにし、さらに非耐塩性菌の大腸菌及び酵母における遺伝子導入、発現、エクトイン合成能の付与を目的として行われた。 3つのエクトイン合成系遺伝子はクラスターを形成しているので、大腸菌由来の浸透圧応答遺伝子プロモーター制御下でこれらを発現させる前に、まず、H.elongataにおけるこれらの発現制御機構を明らかにするため、最上流に位置するectBの5'上流域をゲノムDNAより新たにクローニングし、塩基配列を決定した。その結果、ectBの5'側に約340塩基の非翻訳領域があり、大腸菌の形質転換体では、この部分の全長が含まれるとき最も高いエクロイン合成活性が得られた。しかし、培地中の0.5M NaCl添加の影響はエクトイン合成活性には負の効果が、細胞内のエクトイン蓄積量には正の効果があった。エクトイン蓄積量がその合成酵素活性の変動と一致しない原因は、(1)発現酵素タンパク質が基質レベルで細胞外の塩による制御を受けている、(2)菌体内で合成されたエクトインが低浸透圧環境下では保持できず培地中に漏洩した、のいずれかによると考えられる。 酵母Saccharomyces cereviseaeにエクトイン合成能を付与する試みとして、フォスホグリセロリン酸キナーゼプロモーターによる構成性発現ベクターを用いてエクトイン合成系遺伝子をまず、単独で導入し、その発現を調べた。形質転換体の粗酵素液中には合成系酵素のいずれも活性を確認することができたので、酵母におけるエクトインの合成蓄積の可能性は充分にあることがわかった。しかし、3酵素遺伝子すべてを同時に導入した形質転換体は得るに至らなかった。
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