1998 Fiscal Year Annual Research Report
マングローブ生態系の微生物相の解明とその培養株の収集保存
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08660405
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Research Institution | Institute for Fermentation, Osaka (IFO) |
Principal Investigator |
中桐 昭 財団法人 発酵研究所, 真菌研究室, 研究員 (70198050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 久美子 財団法人 発酵研究所, 酵母研究室, 研究員 (20270572)
田村 朋彦 財団法人 発酵研究所, 放線菌研究室, 研究員 (10236755)
中川 恭好 財団法人 発酵研究所, 細菌研究室, 研究員 (70260172)
岡根 泉 財団法人 発酵研究所, 真菌研究室, 研究員 (60260171)
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Keywords | マングローブ / 微生物相 / 生物多様性 / 微生物生態 / 遺伝子資源 |
Research Abstract |
本年度は9月に西表島後良川を中心に採集を行い、多様な微生物株の収集を目指すと共に、これまでに分離された微生物の同定を進め、マングローブ汽水域の微生物相の全体像を把握することを目指して研究を行った。現在も各研究分担者は分離株の同定や分離株を用いた分類、生態学的研究を進めている。本年度得られた研究成果の概略は下記の通り。 1.2月(低温期)に引き続き、9月(高温期)に後良川の上流〜河口4地点にleaf trapを水中に設置し、仕掛けたマングローブ葉から分離される鞭毛菌を調査して菌相を比較したところ、季節によって菌の出現頻度が変動すること、菌相が塩分環境によって異なること、基質特異性を示す菌種が存在することが明らかになった。また、マヤプシキ落葉のみから出現するHdophytophthora属菌の新種を発見した。 2.後良川の上流域から下流域に生育するオヒルギの生葉の内生菌を調査したところ、上流域ではColletotrichum属菌が、下流域ではPhyllosticta属菌の出現頻度が高いことが明らかになった。 3.9月に採取した河川水などから88株の細菌を分離した。これまでに落葉や土壌から分離された361株と共にL-乾燥または凍結保存した。これらの分離株のうち98株の16SrDNA後半部分の塩基配列を決定し、BLASTを用いたhomology serachを行ったところ、既知種との相同性が95%以下と低い未知の属と考えられる菌が2株見いだされた。 4.マングローブ落葉、根圏土壌などからStreptomyces,Micromonospora,Dactylosporangium,Streptosporangium,Microbispora,Herbidospora,Actinomadula,Pseudonocardiaceae,Nocardia,MicrotetrasporaもしくはNonomuria様放線菌36株を単離し、し乾燥保存した。5.土壌、落葉、樹皮、生葉、花、果実など32試料から、158株の酵母を分離した。これまでの4回の採集分離を通してよく分離されるWilliopsis属酵母、Kluyveromyces aestuarii,Saccharomycesyakushimaensisは季節、場所、分離に用いた植物の種類に関わらず高頻度で分離されることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Nakagiri, A.et al.: "Lanceispora amphibia gen.et sp. nov., a new amphisphaeriaceous ascomycete inhabiting senescent and fallen leaves of mangrove" Mycoscience. 38(2). 207-213 (1997)
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[Publications] Nakagiri, A.et al.: "Zoosporangium development, zoospore release and culture properties of Halophytophthora mycoparasitica" Mycoscience. 39(3). 223-230 (1998)
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[Publications] A.Nakagiri: "Diversity of halophytophthras in subtropical mangroves and factors affecting their distribution, In : Proceedings of the Asia-Pacific Mycological Conference on Biodiversity and Biotechnology" BIOTEC, Thailand, PP.109-113, 302P. (1998)