1996 Fiscal Year Annual Research Report
受容型チロシンキナーゼの発現に基づく体節の分化に関わる脊索の神経管からの情報解析
Project/Area Number |
08670008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
平野 茂樹 新潟大学, 医学部, 助教授 (10018765)
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Keywords | 受容型チロシンキナーゼ / Cek8 / 体節分化 / 脊索 / 神経管 / 椎板分化 / 筋分化 / 誘導 |
Research Abstract |
まず胚子全体の中の発現パターンを調べ、形態形成に関連した受容型チロシンキナーゼ(Cek8)の働きを類推するため、ステージ6から24までのニワトリ胚子を4%パラフォルムアルデヒトで固定し、Cek8抗体で標識した全体標本を作った。この標本を実体顕微鏡で観察し、発現部位を写真撮影した。次いでこれ等胚子を脱水し、パラフィンに包埋し、12μの連続切片にした。そして記録写真と連続切片をつき合わせてCek8を発現している細胞群を確認した。この結果、形態形成に関連したCek8の発現は次の四つに大別できた。1)組織・器官の分化に関連した発現。2)上皮の再構築に関連した発現。3)体前後軸、あるいは背腹軸に沿った空間的位置情報に関連した発現。4)現在のところ機能不明な発現。 次いで本研究の目的である体節に関連したCek8の発現意義について検討した。体節はステージ6ですでにCek8を発現していた。その後、体節板の頭端部で1ないし2個分の時期新体節となる細胞集団が既に分節をなして発現を始めており、体節となった後は尾側から急速に発現を減弱していった。そして約5ないし6体節吻側にある、椎板細胞が移動を始めた体節からは発現が消えていた。さらに吻側に位置する体節から一度Cek8の発現は完全に消えるが、胚子のステージが16位以後なると、最も吻側にある体節の皮板の背側縁近くと腹側端に再びCek8の発現が現れ、暫時尾側の体節にも発現した。筋板には発現が認められなかった。以上の結果から体節に於けるCek8の発現は類推されたCek8の機能の1)〜3)に該当しており、特に椎板及び皮板の分化に関わっていることが示唆された。そこで今後は体節細胞のCek8の発現が神経管・脊索から分化に関する情報を受けるためのものなのか、分化する体節細胞間での情報交換に使っているものなのか、神経管・脊索の切除あるいは移植実験から検討する。
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