1996 Fiscal Year Annual Research Report
小腸未分化細胞における核膜孔蛋白発現と有窓層板の発生に関する研究
Project/Area Number |
08670013
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野田 亨 京都大学, 医学研究科, 助手 (50156204)
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Keywords | 核膜孔複合体蛋白 / 有窓層板 / コルヒチン / 小腸上皮 / 免疫細胞化学 |
Research Abstract |
本研究は核膜孔複合体(NPC)蛋白の発現と有窓層板との関係、そして有窓層板の発生を形態学的に捉えようとしたものである。以下に研究成果を報告する。ラットにコルヒチンを投与すると、投与後1時間で小腸上皮の陰窩部の一部の細胞の核膜が抗NPC抗体に蛍光抗体法で強い反応を示した。この反応は投与後5時間ではやや広い範囲の細胞に拡がる傾向を示したが、正常組織では上皮全域で非常に弱い反応しか示さなかった。次に免疫金標識法により電顕的に反応部位を検索したところ、抗NPC抗体で標識された1つの核膜抗相当部位の金粒子の個数には、正常組織との間で明瞭な差が認められなかったが、コルヒチン投与群では細胞によって1つの核あたりの標識金粒子のクラスターの数にばらつきが認められた。抗NPC抗体の反応性は核膜以外にも認められ、蛍光抗体法では細胞質に点状の反応が特にコルヒチンを投与した組織で多く観察された。正常およびコルヒチン投与ラットの小腸上皮のウェスタンブロットでは、抗NPC抗体が特異的に認識している主な蛋白群は分子量153kD,115kD,44kDであったが、明らかな各バンドの強さの増減やバンドパターンの変化は認めなかった。電顕による形態観察では有窓層板はコルヒチン投与群で高頻度に観察され、その核膜孔様構造にはNPCの標識が集中して認められた。以上の結果から、小腸上皮細胞の核膜孔複合体蛋白の核膜と有窓層板における分布がコルヒチン投与により変化することから、細胞分裂過程の障害、あるいは微小管の脱重合がこの蛋白の局在の変化をもたらすことが明かとなった。有窓層板の小胞体との3次元的連続性を連続切片から観察すると、有窓層板の各層板は小胞体の折れ返りや立体的な分枝によって連続性が保たれており、こうした形態的な特徴は有窓層板の発生過程に重要な所見であると考えられる。
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[Publications] Shinohara,H.et al.: "Disorganization of microtubular network in postischemic liver dysfunction:its functional and morphological changes" Biochim.Biophys.Acta. 1317. 27-35 (1996)
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[Publications] Fujimoto,K.et al.: "A simple and reliable quick-freezing/freeze-fracturing procedure" Histochem.Cell Biol.117. 81-84 (1997)
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[Publications] Yu,X.M.,et al.: "The protective effect of Liu-Jun-Zi-Tang agaist adriamycin-induced liver cytotoxicity on rat." Acta Anatomica Sinica. 27. 79-81 (1996)
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[Publications] 野田 亨、井出千束: "小腸上皮未分化細胞における核膜孔複合蛋白の誘導と有窓層板との関係" 解剖学雑誌. 71. 416 (1996)
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[Publications] Noda,T.and C.lde: "Ultracytochemical characteristics of annulate lamellae in intestinal epithelium" Acta Histochem.Cytochem.29(Suppl.). 591-592 (1996)
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[Publications] 藤本豊士、野田 亨(分担): "電子顕微鏡 基礎技術と応用1996" 学際企画, 265 (1996)
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[Publications] 野田 亨(分担): "組織細胞化学1996" 学際企画, 208 (1996)