1996 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトホメオボックス遺伝子の異所的発現を誘導されたマウス神経冠細胞の発生
Project/Area Number |
08670036
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
谷口 泰史 東海大学, 医学部, 講師 (30207188)
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Keywords | ホメオボックス遺伝子 / HOXD3 / インテグリンβ3 / R-カドヘリン / トアンスジェニックマウス / Wnt-1遺伝子 / 神経冠細胞 / 細胞接着因子 |
Research Abstract |
動物胚の形態形成調節遺伝子であるホメオボックス遺伝子は、様々な遺伝子の調節領域に結合してその転写レベルを制御する転写調節因子をコードしている。私は、ヒト第2染色体上に存在するホメオボックス遺伝子HOXD3を単離してその構造を決定した。さらに、HOXD3遺伝子のヒト赤芽球系白血病細胞での過剰な発現が、インテグリンβ3やR-カドヘリンなどの細胞接着因子の転写レベルを変化させ、細胞の接着性を変えることを明らかにしてきた。本研究では、ヒトHOXD3をマウスWnt-1遺伝子のプロモーターおよびエンハンサーに連結したトランジスジーンを用いてトランスジェニック(Tg)マウスを作成した。このTgマウスでは、ヒトHOXD3が異所的に発現していることが期待される。またトランジスジーンの検出は、マウス胎盤および尾から抽出したゲノムDNAを用いたゲノミックサザン法あるいはPCR法で行った。その結果、後肢形成不全のマウスが見出され、HOXD3の異所的な発現が主に骨格系に影響を与えていることがわかってきた。現在、このTgマウスの詳細な解剖学的所見を検討中である。さらに、RT-PCR法によって、ヒトHOXD3遺伝子が実際に異所的な発現をしているかどうかを確認しているところである。また、ヒトHOXD3の異所的な発現がマウスの発生に致死的な作用をもたらす可能性も考慮にいれて、発生中の胚の形態をも調べている。これらの実験から得られた結果をふまえて、HOXD3の発現が生体中でも細胞接着因子の発現制御に関係していることを明らかにしていきたいと考えている。
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[Publications] 谷口泰史: "ホメオボックス遺伝子HOXD3によるとヒト白血病細胞接着分子発現の制御" 細胞. 28・7. 250-254 (1996)
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[Publications] Y.Taniguchi: "Isolation and structural analysis of the mouse Nat (Ring3) gene in the MHC class II region" Nucl.Acids Symp.Ser.35. 225-226 (1996)
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[Publications] Y.Taniguchi: "Cloning,sequencing,and chromosomal localization of two tandenly arranged human psedogenes for the preliferating cell nuclear antigen" Mammalian Genome. 7/12. 906-908 (1996)