1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08670041
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
相沢 信 日本大学, 医学部, 助教授 (30202443)
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Keywords | ストローマ細胞 / 造血幹細胞 / サイトカイン / 人工骨髄 / 造血微小環境 / 接着因子 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ヒト造血幹細胞の増殖、分化の制御に深く関与する造血微小環境の主要な構成要素であるストローマ細胞の特異的機能を解明し、試験管内における造血現象の再構築(人工骨髄構築)の可能性を検討することにある。この目的達成のための第一段階として、試験管内で安定して継代培養可能な機能的ストローマ細胞株の開発を、第二段階として幹細胞増殖、分化におよぼすストローマ細胞の作用機序の検討を試みた。 1.株化ストローマ細胞の造血幹細胞増殖、分化におよぼす影響 樹立したストローマ細胞株(HAS303)存在下に健常人骨髄より得た造血幹細胞を試験管内で培養した結果、幹細胞単独培養時と比較して長期にわたり幹細胞の増殖が確認され、同時にこれら幹細胞から顆粒球系、単球系への分化が誘導されていることが確認された。 2.ストローマ細胞の造血因子産生機能 ELISA法により、HAS303培養上清中にIL-6,G-CSGF,GM-CSF,M-CSFが検出され、さらにRT-PCR法によりIL-1,11,stem Cell Factor, TGF-β,LIFのm-RNAの発現を認め、これら造血因子の産生を介してストローマ細胞が造血幹細胞の増殖、分化に関与していることが確認された。事実ストローマ細胞からの造血因子産生を変化させる薬剤であるベスナリノンを上記培養系に添加させることにより、造血幹細胞の早期消失と強い分化誘導が認められ、ストローマ細胞からの造血因子産生のアンバランスが異常造血状態を引き起こすことが証明された。 現在ストローマ細胞のサイトカイン産生機構の転写レベルでの制御機構を検討中であり、さらにストローマ細胞に発現する造血幹細胞増殖に関与する機能的接着因子についても同定中である。
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[Publications] S.AIZAWA et al.: "Possible involvement of bone marrow Stromal cells in agranulocytosis caused by vesnarinone treatment." Acta Haematologica. (in press).
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[Publications] R.Nabeshima,S.Aizawa et al.: "Effects of vesnarinone on the bone marrow stromal cell-dependent proliferation and differentiation of HL60 cells in vitro." Experimental Hematology. (in press).
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[Publications] 知誠,相沢信,他: "骨髄異形成症候群におけるアポトーシスに関する骨髄ストローマ細胞の役割" 臨床血液. 37・7. 542-546 (1996)