膝状体外視覚系に属する繊維連絡の光顕及び電子顕微鏡的解析

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 08670042
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
• Research Institution: Fujita Health University
• Principal Investigator: 加藤 好光 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (20121436)
• Keywords: 視床膝上核 / 小脳室頂核 / 上丘 / 二重蛍光標識法 / 蛍光色素 / 逆行性軸索輸送 / 線維連絡

Research Abstract

視覚に関係した部位である小脳室頂(Ft)尾側半部と視床膝上核(Sg)間、Ftと上丘(SC)間の線維連絡のあることは既に報告されている。前回Ft-Sg投射神経細胞とFt-SC投射神経細胞がFt尾側半部の同一部位に共存しており、SgとSCの両者へ投射する二重標識神経細胞の存在することを報告した。しかし、Ft神経細胞が側副枝を出して、両側のSgに投射しているか否か、いまだ不明である。本研究は、両例Sgに異なる蛍光色素を注入し、逆行性軸索輸送により、Ft-Sg神経細胞の投射様式を検索した。実験には成熟ネコ5匹を用い、ケタミンおよびネンブタール麻酔下で、脳定位固定装置に固定し、先ず左側のSgにfast blue(FB)を0.5μl圧注入し、その3日後に、再麻酔し、右側のSgにnuclear yellow(NY)を0.5μl圧注入した。その後、このネコを2日間生存させ、ネンブタール深麻酔下で、10%ホルマリン溶液にて潅流固定した。次に、脳を取り出して小脳および脳幹を分離し、これについて厚さ50μmの前頭断連続凍結切片を作製し、蛍光顕微鏡を用いて両側Sgへ線維を投射する神経細胞をFt内で追究した。その結果、逆行性標識細胞が両側のFt尾側半部に観察された。fast blueで標識されたFt-Sg投射神経細胞はその細胞核を除き、細胞質および樹状突起が青色に標識されていた。また、nuclear yellowで標識されたFt-SC投射神経細胞はその細胞の核のみが黄緑色に標識されていた。それぞれの蛍光色素により標識される標識神経細胞はFtの尾側半部に散在して観察された。その中で、両者の色素により同時に標識される二重標識神経細胞が観察された。二重標識神経細胞は主に中型で、円形から楕円形の細胞体により数個の突起を出す多極神経細胞であった。

Research Products

• [Publications] Benedek,G.,Perenyi,J.,Kovacs,G.,Fischer-Szatmari,L.,and Katoh,Y.Y.: "Visual,somatosensory,auditory and nociceptive modality properties in the feline suprageniculate nucleus." Neurocience. 78. 179-189 (1997)
• [Publications] 橋本和子、加藤好光、新井良八、出浦滋之: "ネコ小脳感覚野皮質への重複投射細胞の小脳および脳幹における局在について-二重蛍光標識法による研究-" 藤田学園医会誌. 21. 95-99 (1997)
• [Publications] 加藤好光、出浦滋之、新井良八: "ネコの視床膝上核および上丘に投射する小脳室頂核神経細胞について:二重蛍光標識法による研究" 藤田学園医会誌. 22. (1998)