1996 Fiscal Year Annual Research Report
平滑筋カルシウムチャネルにみられる長期開口機序の解析
Project/Area Number |
08670047
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中山 晋介 名古屋大学, 医学部, 講師 (30192230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
葛谷 雅文 名古屋大学, 医学部, 助手 (10283441)
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Keywords | 平滑筋 / カルシウムチャネル / パッチクランプ / 細胞内情報伝達 |
Research Abstract |
本年度は主に、モルモットの単離膀胱平滑筋細胞を用いて、細胞膜のL型カルシウムチャネルの性質を調べた。正常ピペット液を使って細胞を潅流した状態で行うかホールセル電流の記録において、細胞膜に+80から+100mVの高脱分極パルス(2-5秒間)を与えると、L型カルシウムチャネルは第二の開口状態へ遷移する。この開口状態では、カルシウムチャネルは不活性化せず、また細胞膜電位を再分極させると、脱活性化速度のきわめて遅い(tau=8-15msec)尾電流が観察される。高脱分極パルスを与えると電位依存的に燐酸化酵素が働き、Caチャネルが活性化されるという説があるので、これを検証するために、ピペット液に一度燐酸化されると脱燐酸化を受けないATPγSを加えて、高脱分極パルスを与えた。もしモルモット膀胱平滑筋Caチャネルにみられる、高脱分極パルスによって引き起こされる第二の開口状態が、チャネル蛋白の燐酸化によるものならば、一度、高脱分極パルスを与えると、次からは通常の脱分極パルスを与えても、第二の開口状態には起因する特殊な不活性化と脱活性化の性質を示すはずである。しかしながら、このようなことは起こらず、高脱分極パルスの影響は可逆的であった。また、ほぼすべての燐酸化酵素を非特異的に阻害する濃度のH-7を投与しても、Ca電流の大きさに若干の影響を与えるだけで、高脱分極パルスを与えた後のゆっくりとした脱活性化による尾電流の特性には影響を与えなかった。これらの実験事実から、平滑筋細胞における、高脱分極パルスによって引き起こされるCaチャネルの第二の開口状態は、燐酸化酵素の電位依存性活性化によるものではないことが示唆された。しかしながら、チャネル蛋白の燐酸化が、通常の開口状態から、第二の開口状態への遷移速度へ影響を与える可能性などは、未だ検討の余地が残されている。
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