1996 Fiscal Year Annual Research Report
レセプター過剰発現による心筋GIRKチャネルの活性化および脱感作機構の解析
Project/Area Number |
08670050
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鷹野 誠 京都大学, 医学研究科, 助手 (30236252)
|
Keywords | 心臓 / Kチャネル / アセチルコリンレセプター / パッチクランプ |
Research Abstract |
心臓において、アセチルコリンの信号伝達系の最終的な標的のひとつはG蛋白制御性Kチャネルである。この信号伝達系において、百日咳毒素感受性G蛋白質の3つのサブユニットのうち、β_YサブユニットがG蛋白制御性Kチャネルを活性化することが定性的に証明されているが、その活性化および脱感作のキネティクスの定量的な分子機構はいまだに不明である。ラット胎児ならびに新生児をもちいた発生学的研究の結果、われわれはアデノシンで誘発されるG蛋白制御性Kチャネル電流の密度は出生後いちじるしく低下し、その変化に一致してアデノシン誘発電流の活性化の時間経過・脱感作の程度が変化することを発見した。すなわちレセプター・G蛋白・チャネル複合体の構成比率の変化により、活性化・脱感作のキネティクスが変化するという全く新しい分子機構が予想された。そこでこの詳細な分子機構を解明するため、培養心房筋細胞にレセプター、G蛋白およびイオンチャネルのcRNAないしcDNAを導入し過剰発現させ、その構成比率を変化させることを試みた。とくに本年度はその予備実験としてGFP(Green fluorescent protein)遺伝子を心筋細胞に導入し、GFPの励起光を指標として効率的な培養心筋細胞への遺伝子導入法を確立することを目標とした。まず第一にGFP遺伝子を挿入したベクターDNAを機械的に細胞へ注入することを試みたが、この方法では細胞核に直接DNAを注入せねばならず、技術的に極めて困難であった。つぎにlip of ection法をもちいたが、lip of ectamineは細胞毒性が強く、いくつかの実験例ではGFPの発現を確認できたものの、大多数の培養心筋細胞が死滅し、その至適濃度を決定することが困難であった。今後はさらに細胞毒性の低い試薬を用い、能率の良い遺伝子導入法を検討していく予定である。
|
-
[Publications] Takano,M and Noma.A: "The Development of muscarinic K current in fetal and neonatal rat heart" Am.J.Physiol. (in press).
-
[Publications] Takano,M.,Shindou,T.,Esaki,J.and Noma,A.: "The Developmental Study of the muscarinic K^+ current of fctal and neonatal rat heart" Jpn.J.Physiol.45. S79 (1995)