1997 Fiscal Year Annual Research Report
HERG由来Kチャネルの活性化機構及び内向き整流性のメカニズム解明
Project/Area Number |
08670055
|
Research Institution | AKITA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
尾野 恭一 秋田大学, 医学部, 助教授 (70185635)
|
Keywords | HERG / 洞房結節 / 遅延整流Kチャネル / 心臓自動能 / 急速活性型遅延整流Kチャネル / 緩徐活性型遅延整流Kチャネル |
Research Abstract |
HERG由来Kチャネルは,心筋の遅延整流Kチャネルのうち速い成分を形成する主たる成分(急速活性型遅延整流K電流,IKr)とされている.我々はこれまでIKrはウサギ心臓においては洞房結節細胞に豊富に存在し,自動能成立に不可欠な働きを有することを実証してきた.IKrは,古典的な遅延整流K電流とは異なり,強い脱分極側では直ちに不活性化してしまうため,定常状態の電流電圧関係は特徴的な内向き整流特性を示すことが知られている.この内向き整流性がチャネル自身のゲート機構によるのか,あるいは他の内向き整流性Kチャネルに見られるようなMg,ポリアミン等によるブロックなのかを単一チャネルレベルで明らかにするために,inside-out法で細胞内物質の効果を検討した.その結果,細胞内のMg,Caイオンやポリアミンを取り去った環境下でも,内向き整流性が維持されており,チャネルの内向き整流性はゲート機構によるものと結論した.一方,従来チャネル自身のゲート機構と考えられてきた活性化過程を検討したところ,細胞外Caイオンを取り除くことによりチャネルの脱活性化過程が著明に遅延した.このことはチャネルの活性化がCaイオンによるブロックにより生じていることを示唆する. IKrの自動能への役割をさらに検討するため,今年度新たにブタ心臓より洞房結節細胞を単離することを試みた.その結果ブタにおいてはIKsの関与が大きく,IKrは自動能に関してはほとんど機能していないことが判明した.このことは,自動能の基本となるKチャネルが種により大きく異なることを示唆しており,ヒトを含む種々の動物種において検討する必要がある.
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] N.Harata., J.Wu., H.Ishibashi., K.Ono and N.Akaike: "Run-down of the GABA_A response under experimental ischemia in acutely dissociated CA1 pyramidal neurones" Jouranl of Physiology. 500. 673-688 (1997)
-
[Publications] A.Shinbo., K.Ono and T.Iijima: "Activation of cardiac ATP-sensitive K^+ channels by KRN4884,a novel K^+ channel opener" Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics. 283. 770-777 (1997)
-
[Publications] K.Ono, M.Nakao and T.Iijima: "Chloride-and voltage-dependent Ca^<2+> transient in cultured human aortic endothelial cells" Heart and Vessels. Suppl 12. 50-52 (1997)
-
[Publications] 尾野恭一: "洞房結節遅延整流K電流の解析" Therapeutic Research. 18. 3537-3542 (1997)