1996 Fiscal Year Annual Research Report
ひらめ筋赤筋細胞のケージドATP高速X線回折実験によるクロスブリッジ反応の研究
Project/Area Number |
08670059
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
堀内 圭輔 大分医科大学, 医学部, 助教授 (50183603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 直人 東北大学, 医学部, 助教授 (80133940)
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Keywords | ケージド化合物 / 光分解 / 高速X線回折 / クロスブリッジ / スキンドファイバー / 赤筋 / 収縮 / ATP |
Research Abstract |
クロスブリッジの力発生を理解するために、ケージドATP光パルス分解によってスキンドファイバー筋標本を収縮させ、放射光を利用した時分割X線回折によってこの収縮を観察した。X線回折実験は、つくば高エネルギー研究所の放射光共同利用施設にて行った。ビームラインには、従来のBL15Aに加えてBL16Aをも利用した。 二次元回折パターンは、X線イメージインテンシファイアで可視化、レンズでCCDビデオカメラに映し、12ビット画像処理装置をもちいて実時間でデジタイズし、これをメモリーに保存した。ビデオの時間分解能1/60秒でも追跡できる遅い収縮を得るために、試料にはラットひらめ筋から得た赤筋線維束を用い、また実験温度を低く15℃とした。ATP遊離直後のATP結合反応を充分に速くするために、遊離ATP濃度は1.4mMと高く設定した。ATPと競合するADPの影響を最小限に抑えるために、ケージドATP液にはアピラーゼを加えた。pH7.0、イオン強度0.20M。 ケージドATPを含め、アデニンヌクレオチド化合物の濃度は、分光学的に決定した。筋繊維束は、実体顕微鏡下に作成し、界面活性剤処理によって細胞膜を破壊した。分光解のためのUV光源には、従来どおり、200Jキセノン閃光ランプを用いた。 ATP遊離後、張力はハーフタイム0.14sで上昇した。アクチン層線強度は、わずか50msで1/5に低下、それ以後ほとんど変化しなかった。ミオシン14.3nm子午線反射の強度が張力に並行して上昇することが分かった。以上の結果から、クロスブリッジの分子の力発生の構造変化は、いわゆる「弱い結合」から「強い結合」への結合変化ではないと結論した。
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Research Products
(1 results)